2020年11月28日土曜日

防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス

     


 ここ数日、フランスでは、3人の警察官によって、音楽プロデューサーであるミシェル・ゼクレールが過激な暴力を振われた事件で大騒動になっています。

 事件は、先週末、午後8時頃、パリ17区で起こりました。

 警察車両を通過した男性は、マスクを着用していなかったことから、罰金を回避するために彼の利用しているスタジオの敷地内に入ったと言います。彼を追いかけた3人の警官が玄関に入ると彼を捕まえ、殴る蹴る、挙句の果てには、武器まで使って押さえつけ、執拗に暴行が繰り返されました。

 その際に彼は、警察官から「汚いネグロ・・」などの差別的な言葉で罵られ続けたと証言しています。

 彼は警察の暴力を受けた挙句に48時間警察に勾留されましたが、釈放された後に、暴力を振われた現場であるスタジオ内に設置された防犯カメラに、警察官3人が暴力をふるっている様子が録画されていたことから、その動画とともに、暴行を受けた彼自身の画像がSNSで拡散され、マスコミも動き始めました。

 彼はせめて、防犯カメラがあったことは幸いであったと語っています。

 私もTwitterで拡散されている動画を見ましたが、あまりに暴力的で、引き裂かれた腱、開いた頭蓋骨、打撲傷等、怪我も酷いことから、ちょっと目を覆いたくなるような映像でした。


 https://twitter.com/Loopsidernews/status/1331870826652643328


 この最初の投稿に続いて、あまりの騒ぎに驚いて、様子を伺っていた近隣の人が撮影していた動画が次から次へと出てきており、騒動は、どんどん大きくなっています。

 しかし、さらに酷いことには、このミシェル・ゼクレールの勾留に関して、警察官は虚偽の報告書をあげており、この動画の拡散がなければ、この事件は、葬り去られていた可能性があることです。

 この動画の拡散により、警察は、この事件に関して、再捜査を開始し、この事件に関わった4人の警察官が身柄を拘束されています。

 これには、マクロン大統領までが、「法を執行する者は法を尊重しなければならない。憎しみの感情や人種差別を繁栄させてはなりません。私は政府に、フランス人と彼らを保護する人々との間に自然に存在しなければならない信頼の絆を再確認し、あらゆる形態の差別に対してより効果的に戦うための提案を迅速に行うよう要請します。」と声明を発表しました。

 また、マクロン大統領は、この声明の中で、「フランスは、秩序と自由の国であり、不当で恣意的な暴力は許されません」とも述べています。

 たしかに、この事件を起こしたような警察官はごく一部ではあり、全ての警察官がこのために彼らの信頼を失うことがあってはなりませんが、たしかに一部には、このような警察官は存在する話でもあります。このような事件を聞くのは初めてではありません。

 フランスには、人種差別は(意識、無意識の差はあれど)、存在します。警察官のような特別な権力を行使できる立場の人がそれを暴力を持って行使するほど恐ろしいことはありません。私自身も外国人としてフランスで生活し、どちらかといえば、差別されかねない立場です。

 もし、これが、いやこれだけではなく、私の身に危険なことが起こったら、私は、叫び声を上げることができるだろうか? そんなことさえ考えてしまいます。

 今は誰もがスマホを持ち、誰もが簡単に撮影できる時代、「助けて!」だけでなく、「誰か撮影して!」と叫ぶことも必要かもしれません。

 この件は、決して曖昧にすることなく、徹底的に追求してもらいたいです。

 土曜日もグローバルセキュリティ法に反対するデモが予定されていますが、この事件がさらにこのデモをエスカレートさせる発火剤となるような気がします。

 「防犯カメラによって、警察官が逮捕される」こんな恐ろしいことはありません。


<関連>

「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post.html


「ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状」

(人種差別反対のデモ)

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html




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