ナントの高校で起こった高校生による衛生管理を求めるデモの果て |
ここ連日、フランスの新規感染者数は、新記録を更新し続け、昨日は、とうとう万人を突破し、60486人を記録しました。10月の初旬には、一日の新規感染者数は12000人前後でしたから、一ケ月で約5倍近くなっていることになります。なんという驚異的な増加ぶりでしょうか? 一日6万人の新規感染者となれば、フランスは、世界的にもアメリカに次いで堂々第2位です。
また、フランスの場合は検査で陽性となっても、隔離がしっかりなされておらず、1週間のみの自粛生活、しかも、検査機関からは、マスクをすれば、生活必需品の買い物は行ってもいいなどと指導されているようで、ほぼ、陽性患者も野放し状態。
1週間で約33万人の人が感染しているということは、これだけの人がまたさらに他の人に感染させることができるということです。恐ろしいことです。
現在、ロックダウン中とはいえ、学校は継続し、会社のリモートワークもまだまだ徹底されていません。
ここ数日、フランス各地の高校では、学生が学校側の衛生管理が十分でないことを訴えるデモがいくつも起こっています。
ナント(フランス西部・ロワール川河畔に位置する都市)にあるリセ・デブルド二エールでは、数百名の学生が学校の入り口をゴミ箱を山積みにして塞ぎ、学校内の衛生環境に問題があり、自分たちは感染の危険にさらされていることを訴えました。
デモは、興奮状態になり、近くのバス停付近のごみ箱が燃やされ、警察が介入する事態に発展しています。
また、リモージュ(フランス中部にあるリモージュ焼で有名な都市)でも、リセ・ゲイルサックで学生約800人によるデモが起こり、他の人を殴打するなどの暴力行為に発展したため、警察は催涙ガスで応対する大騒ぎになりました。
その多くの問題は、詰め込みすぎの教室やキャンティーン(給食)でのマスクを外した場所での衛生管理についての問題ですが、学生が危険だと感じる環境を、なぜ放置したまま、学校側が改善策をとらないまま授業が続けられているのか? しかも、その問題提起の方法がなぜ、デモにしかならないのか? そして、なぜ暴力化するのかがわかりません。
大人のデモのやり方をそのまま子供が模倣しています。デモを起こしてゴミ箱を燃やしたりするのは、今やフランスでは、継承されていく伝統芸??
フランスはデモの国、何かを抗議するには、とりあえずデモですが、衛生管理を訴えるならば、デモという抗議の方法が適切かどうかに、思い至らないのが解せません。
また、逆にパリの高校では、衛生管理が十分になされていないということで、閉鎖された高校に学生が押し寄せて暴れるという事件も起こっています。
学校に関しては、リスクが低いことから、ロックダウン中でも授業が継続されているはずなのですが、実際のところ、学校の衛生管理がしっかりとなされているのか? ほんとうに学校は安全なのかということについては、多くの疑問が上がっています。
これだけの深刻な状況になっているにもかかわらず、概して、学校も会社も危機感が薄く、企業のリモートワークへの移行も十分ではありません。
娘が現在、スタージュで通っている会社も、彼女の仕事の性質上、リモートワークが可能(少なくとも、毎日、通勤しなくても可能な業務)なのにも関わらず、未だにリモートワークには移行されていません。
こうした現状から、政府は、学校の衛生管理の取り締まりに加えて、企業のリモートワークへの移行の取り締まりを来週からはさらに厳重に行うことを発表しています。
ロックダウンしかり、外出する人が後を絶たない街中の取り締まりに始まり、営業しているお店の取り締まり、学校の衛生管理の取り締まり、企業のリモートワークへの移行状態の取り締まり・・取り締まりにも大変な人員を要します。
ルールがあっても、自分たちは大丈夫・・取り締まりがなければ守らない・・結果として、締め付けがさらにキツくなる・・常に自由と権利を叫びながら、結果として、自分たちがより一層、強い締め付けの状態を作っている・・そんな悪循環のフランスです。
<関連>
「フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_12.html
0 コメント:
コメントを投稿