マクロン大統領が仏紙のインタビューで、麻薬や薬物使用に対する罰金の回収率の低さを嘆き、「夏の終わりに向けて法令を整備しなおし、即時、現金かクレジットカードで支払うことを求めるように準備を開始している」と話したことが話題になっています。
フランスはヨーロッパ最大の麻薬消費国と言われていますが、もはや、この麻薬が違法であるという認識がフランス人には薄いのではないかと思います。
現在、これらの罰金に対して、実際に回収できているのは、わずか35%ほどなのだそうで、逆に言えば、65%の人は払っていないということになります。
なかなかな割合です。
なぜ、こんなことになっているのかというと、この罰金回収の手続きから、実際の徴収までの手続きが煩雑で、時間がかかり過ぎていることが原因の一端であると見られ、手続きを簡素化し、警察がその場で罰金を徴収する権限を持つということになります。
そうなったらなったで、この警察を装った詐欺師などが出没しそうな気もしますが、まずは、この罰金を支払わせるということを優先にするということだと思います。しかし、これには、当の取り締まりを行う警察官組合(SGP)(や裁判官)は納得していないという声もあがっています。
フランス人はもともとルールを守らないという印象があります。罰金といえば、最近で思い浮かぶのは、パンデミックでマスク着用が義務化されたときのマスク不着用の場合の135ユーロの罰金135でしたが、これに関しては、あまり回収できなかったという話を聞かなかったので、必ずしも全ての人が罰金を支払わないというわけでもないのだとは思います。
私には麻薬や薬物をやっている知り合いがいないので、それがどのような人々なのかはわかりませんが、おそらく、これらの人々の間では、「払わなくても逃げ切れる・・」というあたまがあるのではないかと思われます。実際に65%の人は払っていないのですから・・。
また、この罰金についてのフランス政府のサイトを見てみると、最初に「薬物使用のリスクは?」というタイトルから、健康面の実害等が書いてあるのかと思いきや、「大麻、エクスタシー、コカイン、LSD... は犯罪です。法律で禁止されている行為であり、薬物の種類、量、加害者の犯罪歴などの状況に応じて異なる罰則が課せられ、懲役刑および罰金、または定額の罰金で処罰される場合があります」とあります。
リスクは罰則、罰金というのも、なんだかしっくりこない気がしないでもありませんが、ダイレクトな感じもします。
また、現行では、麻薬・薬物に対しての罰金は、定額200ユーロということになっており、15日以内に支払われた場合は、150ユーロ、逆に45日以内に支払われない場合は、450ユーロに増額されるとなっています。
早く支払えば、減額され、滞納?すれば450ユーロに跳ね上がるということになっていても、支払われていないということは、これがあるから、早く払わなければ・・というふうにはなっておらず、ハナから支払うつもりがないということで、この減額、増額システムは、あまり機能していないことになります。
だからこそ、取り逃がしのないように、その場で現金なり、クレジットカード払いででも取り立てができるようにするのでしょうが、すでにそのための決済端末5,000台は発注済なのだそうです。
この罰金の取り立てについては、一部の政治家たちからは、「法廷の混雑」を回避する「麻薬使用犯罪に対するより効果的な対応」として賞賛されていますが、フランス薬物・薬物中毒監視局(OFDT)は「経済的ペナルティのこの力関係の増大は、個別の健康面での対策に損害を与えている」と複雑な見解も示しています。
マクロン大統領は、この話を「マルセイユ・アン・グランド」計画の一環としてマルセイユを訪問する前にこの計画を公にしています。(マルセイユでは、この罰金徴収率35%をさらに下回っている)
マクロン大統領はこのインタビューの中で、「利用者がいる限り、麻薬密売を嘆くわけにはいかない」、「娯楽だと思って麻薬や薬物を使用する手段を持っている人々は、自分たちがネットワークを育て、麻薬密売を行っていることを理解する必要がある。結果的には密売組織との事実上の共謀だ」と述べています。
麻薬・薬物使用罰金 現金 クレジットカード払い
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