2023年6月21日水曜日

ボルドーの静かな住宅街でのあり得ない暴力事件

  


 今回の事件は、その暴力映像があまりにも衝撃的だったことから、また大騒ぎになりました。事件はボルドーの穏やかそうな住宅街での出来事です。

 映像は、家の扉の前であたりの様子をうかがっていた年配(73歳)の女性とその孫娘(7歳)が家に入ろうとしています。女性はその男の存在に気が付いていたのか、いないのかもわからないぐらいのタイミングで入口の大扉を閉め、ドアが閉まりきらないうちに、その男が割り込んできて、閉まりかけた扉を開けて、2人を暴力的に引っ張り出し、歩道に投げつけ、2人を引き離し、子供だけを連れて行こうとしますが、失敗し、その後に犬が吠え始めたために、そのまま逃走した映像です。

 この映像は、インターホンに接続された防犯カメラの映像で、この映像はテレビやSNSですぐに公開されました。


 

 とても暴力的で、老人と子供(2人とも女性)という弱い立場の無防備な人を暴力的に襲う、非常に悪質な犯罪です。

 午後5時半頃のできごとで、現場に居合わせた目撃者がすぐに通報し、駆け付けた警察が防犯カメラをチェックし、男が黒いルノー・クリオで逃亡したことをつきとめ、事件の1時間後には、逮捕しています。

 この男は、警察から目をつけられている、いわゆる札付きの人物で、1993年ボルドー生まれのフランス国籍の29歳のホームレス。過去に無免許運転、窃盗、暴力、麻薬、さらには殺害の脅迫など15回有罪判決を受けている問題の多い人物のうえ、精神疾患を抱えており、精神科の監督下におかれているはずの人物であるのに、治療は受けていなかったようです。

 検札側は「男は非常に興奮しており、逮捕に抵抗していた」と説明し、彼は犯行事実を否認していたそうですが、この防犯カメラの映像が証拠となり、逮捕が執行されました。

 しかし、逮捕後、まもなく、彼は精神病性統合失調症という医者の診断により、警察での逮捕・拘留が中断され、精神病院に搬送されています。

 また、移民問題か?と思いきや、彼のルーツは別として、彼はフランスで生まれ育ったフランス人。しかし、彼の犯罪歴や病歴を考えると、なぜ、このような人が世に放たれているのかが、疑問というより、恐怖です。精神的な病気を差別するわけではありませんが、このような狂暴な犯罪を重ねている人間で、そのうえ精神的に問題を抱えている人物が保護(隔離)されていないのか?を考えると、そのような危険な人物の管理は大変、ずさんであると言わざるを得ません。

 ボルドーは、娘の学校があったことで、何度か行ったことがありますが、パリよりも、ずっと、ゆっくりと時間が流れている平和なイメージで、バスやタクシーまでも、ゆっくり走っている感じで、警察官もパリよりもずっと少なくて、ボルドーって、やっぱり平和なんだなぁ~というイメージがあっただけに、余計に衝撃的です。

 この容疑者は少なくとも、現在は隔離されていますが、目撃者の証言によると、「彼が逃走した車は彼が運転していたのではなく、運転手は別にいた」とか、逃走する車に同行しているバイクの存在が語られており、彼の単独犯ではないことが疑われています。

 とすると、彼の仲間たちは、まだ、世の中に紛れて暮らしているわけです。

 多くの政治家も、この事件については、多くのコメントを発しており、「刑罰は最大級に厳重に!」などと呼びかけていますが、彼の刑罰についてはもちろんのことではありますが、このような前科15犯もある、しかも精神的な病を患っている人物を監督、隔離管理できていないということをどうにかしてほしいと思うのです。


ボルドー住宅街暴力事件


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