2023年6月29日木曜日

燃え上がる警察への怒り 燃える炎は全国に飛び火

 


 警察官が服従拒否をした青年を射殺した事件に多くの人が怒りの感情を燃え上がらせ、本当にたくさんの車やバスが燃やされたりして、暴動のようになっています。

 事件の起こった当日の夜、事件現場となったナンテールの街は、手が付けられないほどに、多くの若者たちが街に出て車を燃やし、爆竹をばらまき、大荒れに荒れ、1,200人の警察官が出動する大騒動になりました。

 翌日のナンテールの街は厳戒態勢が敷かれ、前日に燃やされた車などの撤去作業とともに、2,000人の警察官が動員され、前日のような事態が起こることを警戒して、備えていましたが、この警戒体制が功を奏したのか、ナンテールでは、前日ほどの暴動には至りませんでした。

 しかし、この警察に対する怒りと抗議は、トゥールーズ、リヨン、リールなどなど、遠く離れた地域にまで飛び火し、それぞれの地で車が燃やされたり、ゴミ箱が燃やされたり、場所によっては、バスが燃やされたり、全国的な怒りに拡大しています。


 この青年を射殺した警察官(38歳男性)は、身柄を拘束されていますが、通常、24時間の拘束が48時間に延長されたそうです。しかし、この騒ぎでは、身の安全のためにも警察に拘束されていた方がよいのかもしれません。

 この事件を受けて、マクロン大統領もインタビューで、「若者の死を正当化できるものは何もない。言い訳ができるものではなく、許しがたい行為」と答えています。


 また、フランスの大人気サッカープレイヤーのムバッペ選手なども、この事件について、「僕のフランスが悲しい、受け入れがたい事件」とツイートしています。

 警察官が拳銃を発砲するのは、あくまでも非常手段の場合のみなはずで、撮影されていた複数の映像からは、一度、車を停車させて、押し問答している段階から、警察官は青年を拳銃で威嚇しています。

 青年が何らかの武器を携帯していたのならばともかくも、彼は武器を持ってはいませんでした。この車には、運転手の他、2名が同乗しており、1人は、逃走していますが、もう1人は事故後に身柄を拘束されているので、その際の警察官とのやり取りを間近で聞いていた目撃者でもありますが、この同乗者からの証言はかなり、重要な証言になりそうです。

 この事件への怒りがフランス全土に飛び火して、燃え上がるのも、治安の悪化により、警察との摩擦が増加していることもあるとは思いますが、射殺されるまでには至っていなくても、警察官の威圧的な態勢を多くの人々が体験したことがあるからだという人までいます。

 2022年には路上検問の際に服従しなかったために起きた警察官による射殺事件が13件も起こっていたことが明らかになりました。これは路上検問の際の服従拒否による射殺事件で、その他の事件は含まれていません。

 最初は服従拒否だけで射殺?と驚いていましたが、最近、時々、聞くな・・くらいに増えたような気がしていたのは、やっぱり異常なことです。

 この怒りを燃え上がらせ、車やバスを燃やして、ホンモノの炎を燃え上がらせる行為は間違っていると思いますが、警察官の拳銃の取り扱い方にも、明らかに問題はあると思います。

 せめて、100歩譲って、状況的に発砲が不可欠であったとしても、せめて発砲の際には、急所を外す訓練をするべきだと思います。

 これでは、死刑制度のある国を非難する一方で、裁判なしでの事実上の死刑を執行しているようなもの。しかも検問の際の服従拒否で・・。



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