2023年6月6日火曜日

シャンゼリゼでのディクテ(書き取り)大会 参加者5000人 ギネス記録樹立

  


 6月のある日曜日、パリ・シャンゼリゼでは、ディクテ(書き取り・口述筆記)大会が行われていました。このディクテというもの、私が中学生の頃、英語の授業の中でディクテーションというものがあったような微かな記憶がありますが、フランス語、特に正確にフランス語を読み書きするのが大の苦手・・というより、ほとんど無理なレベルの私にとっては、まるでフランス語の難易度をひけらかされているようにさえ感じる嫌みなイベントです。

 しかし、フランス人にとっては、幼い頃から慣れ親しんだ?それなりに苦労してきたディクテには、郷愁のようなものを感じるところもあるようです。

 毎年のように、このディクテの大会はどこかで開催されている話を耳にしますが、今年はシャンゼリゼで行われ、5000人が参加するというので、シャンゼリゼがディクテ会場として、どんなふうにセットアップされるのかだけでも、見ものだと思い、散歩がてら、シャンゼリゼに出かけてみました。

 久しぶりにパリに来ている娘にとって、シャンゼリゼは、なかなか誘惑の多い場所でもあり、洋服などを見ていたら、実際のディクテ会場に到達するのは、遅くなってしまって、下手をすると、もう終わっちゃってる?と思いきや、ディクテ大会は3部構成になっていて、私たちが見に行った時には、ちょうど3部目が始まるところでした。

 司会は、テレビでよく見かける女性司会者で、「世界一美しい通り・シャンゼリゼにようこそ!」と始まりました。このシャンゼリゼで何かが行われる時には、必ず司会者あるいは、解説者が口にする「世界一美しい通り・シャンゼリゼ」という文句には、何度聞いても、「まあ、そうかもしれないけどね・・」とちょっと苦笑させられます。

 この日の参加申し込みには、なんと5万件を超える応募があったとかで、その中から抽選で選ばれた10歳から92歳の約5000人が参加したそうです。(3部構成で、1回につき1779人が参加)

 シャンゼリゼには、凱旋門の目の前にステージと大型スクリーンが用意され、そのステージに向かって、学校で使うような机と椅子がきれいに並べられているという、ちょっと珍しい光景です。

 よくよく考えるならば、このディクテという大会が成立するのも、日本語でいう単に感じの書き取りのようなものではなく、文章の口述筆記で、フランス語の文法や余計?な記号の多さ、複雑さが、このような大会が成立する所以であり、多くの人、ネイティブのフランス人でさえも、正確にフランス語の文章をしっかりと間違いなしに書き取ることがどれだけ難しいかということなのです。

 まあ、私がいつまでもフランス語が苦手な言い訳でもありますが・・。

 最初、フランス語を知らなかった頃、どうして大の大人がちゃんとフランス語を書けるかどうかの大会などが存在するのかと思いましたが、いざ、フランス語を学び始めると、ミスなしにフランス語を書くことが、どれだけ大変なことかがわかります。

 幼少期からの全ての教育をフランスで受けてきた娘は、「ちょっとやってみたいかも・・」などと言いつつ、「学生時代だったら、少しは自信があったけど、最近、あまりフランス語を書いていないから、今だったら、どうだろう?」と言っていました。

 学生時代、幼い頃は、学校でディクテの練習をさせられたこともあったけど、大きくなってからは、論文形式のテストなどの場合は、この綴りや記号、文法に誤りがあると、減点されるので、点取り虫だった彼女はとても気を使ったのだとか・・。それも、文章そのもののテストではなく、本題は、内容のある論文の方に気を取られがちなため、大変なのだとか・・。

 だいたい、フランスの学校のテストというものは、やたらと論文形式のものが多く、長々とした文章を書かされるテストが多いのです。

 そもそも論じることが好きなフランスの国民性は、こんな教育も関係しているのかもしれません。

 英語に比べると文法も記号なども格段に複雑なフランス語は、発音しない文字も多く、しかもアクサンテギューだのなんだの、記号も多く、どうしてもっと簡単に進化していかなかったのか?と恨めしいくらいですが、フランス人はその難しいフランス語に誇りを持っているようなところもあります。

 まあ、考えようによっては、基本的に使われているのは、アルファベットのみ、日本語はひらがな、カタカナ、漢字と文字の種類は格段に多いはず。

 外国人からしたら、それなりに日本語の読み書きは難しいとも思いますが、少し話すことさえできれば、平仮名だけでよければ、とりあえず、書くことはできることを考えれば、日本語って上手くできているなぁ・・などとも思うのです。

 最近は、日本語でさえ、パソコンやら携帯やらで、自分の手で文字を書くということをさっぱりしなくなっているので、実際に自分の手でペンを使って文字を書くということがとても億劫になっていますが、たまには、日本語の文章を紙に書くということも悪くないかな?とこんなイベントを目にして、感じないでもありません。

 なお、このシャンゼリゼのディクテ大会は世界で最も多くの人がディクテを行った(1400人(一部につき)ギネスブックの記録を樹立したそうです。


シャンゼリゼ ディクテ大会 ギネス記録


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