事件は朝の9時45分頃に起こりました。アヌシー(オー・サヴォア県)にあるのどかな湖のほとりの公園で、ナイフを持った男が22ヶ月から3歳の子供たちに襲いかかる(成人1人を含む7名が負傷・子供たちは生死をさまようほどの重症を負った)という、ちょっと信じられない事件に誰もが震撼とさせられました。
襲われたのが、まだヨチヨチ歩きの子供ばかりというのも余計に恐ろしく不気味な事件で、その日は、一日中、フランス全土はそのニュースでもちきりで、少しずつ判明していく犯人のプロフィールに最も過激に反応し始めたのは、移民を叩き出したい極右政党の政治家と過激派でした。
犯人は、迅速な警察の介入で、その場で逮捕されていますが、この男性は、1991年生まれ、31歳のシリア国籍で、スウェーデンで難民認定を取得し、10年間スウェーデンに住んでいたものの、昨年秋からフランスに入国し、このアヌスの近辺にホームレスとして?滞在しつつ、フランスでも亡命申請を提出していましたが、すでにスウェーデンで難民認定を取得していたために、フランスはこれを却下しており、その通知を彼が受け取ったのがこの事件の4日前であったと言われています。
この衝撃的なあまりに狂暴な事件の知らせに当日、開催されていた国民議会も議事を中断して1分間の黙とうが行われています。
この犯人からは、麻薬などのドラッグやアルコールの反応は出ておらず、また、彼には精神病歴もありませんでした。付近の住民によれば、彼はフランス入国以来、この事件を起こした公園を根城にしていたのを目撃されていましたが、彼は非常に礼儀正しく、周囲の人々の邪魔にならないように、午後7時半頃になるとやってきて、朝8時頃になると公園を出ていき、清潔な身なりで、挨拶をすれば、それに応えて挨拶をし、まるで軍隊生活をしているようにきちんとしていたため、彼が公園に留まっていることを通報する必要は感じていなかったという証言もあるようです。
彼に対して、毛布や食べ物を提供しようとしても、彼はこれをいつも拒否していたそうです。
事件後になってみれば、あの彼の行動は周囲を油断させるものだったのだろうか?とその証言者は、ホームレスとしては、あまりに礼儀正しく、清潔にひそやかに暮らしていた彼の様子を逆に不気味に思い返しています。
また、彼は亡命申請の際にシリア出身のキリスト教徒であると宣言しており、今回の襲撃事件においても、子供たちに襲い掛かる際に「イエス・キリストの名において!」と数回、叫んでいたと言われており、スウェーデンでは、一時、教会で生活していたこともあったと言われています。
彼は、スウェーデンでは、結婚歴があり、信じられないことに、今回襲った子供たちと同じ年ごろの3歳の子供がいるそうですが、8ヶ月前に離婚しており、元妻が電話でのインタビューに回答しています。
彼はスウェーデンでの生活も決して順調ではなかった模様で、スウェーデンの新聞によると、スウェーデンにおいて、彼には、研修中に失業手当と奨学金の両方を受け取ったとされる給付金詐欺の前科があり、執行猶予付きの有罪判決と罰金が課せられていたそうで、そんなことも影響してのことか、スウェーデンにおいて取得したかった国籍取得に失敗し、スウェーデンを出国することを決意したと元妻が証言しています。
彼の今回の襲撃事件の本当の理由は解明されてはいませんが、スウェーデンに亡命し、腰を落ち着けるつもりが、それに失敗し、イタリア、イスラエル、マレーシアなどでも亡命申請をしようとしていたものの、フランスでの亡命申請の結果、すでにスウェーデンでの難民認定があることを理由に却下されたために、今後も他国で亡命申請が認定されないことが予想さたことに失望したとも考えられます。
しかし、なぜ、彼が襲ったのが自分の子供と同年代の小さな子供であったのか? 一見、冷静そうに見えていたこの男の狂気は何に起因しているのか?
いずれにせよ、この不可解かつ、狂暴な子供を中心に狙った襲撃事件は、単に恐ろしいだけでなく、再び移民問題に大きな波紋を呼ぶことは間違いありません。
現段階では、アヌシーでは、この件に関するデモを禁止していますが、いつまでも禁止というはずもありません。この事件に多くの人が憤りを覚えていますが、この事件を間違った方向で騒いでほしくはありません。
アヌシー ナイフによる子供襲撃事件
<関連記事>
「早朝のパリ北駅での6人刺傷事件 容疑者は、OQTF(フランス領土退去命令)の移民」
「スティーブン・スピルバーグ「ターミナル」にインスピレーションを与えた伝説のホームレスCDGで死去」
「2023年に提案される移民法の改正案の概要 積極的な受け入れと追い出しの両刀使い」
0 コメント:
コメントを投稿