2023年6月16日金曜日

パリのメトロ4号線トンネル内ブロックでパニック状態の大混乱

  


 パリのメトロはよく止まるので、それがたとえ、トンネル内であろうと、そんなに驚きはしません。たいていは、しばらく止まっても、少したてば動き出すし、その時の情報はあまりあてにならないのもわかっているので、たとえ、「プロブレムテクニックでしばらく停車します!」などとアナウンスがあっても、その直後にいきなりドアが閉まって動きだすこともあるので、運よく駅に止まっていても、とりあえずは、そのまま、しばらく我慢して、様子をうかがってみます。

 朝の通勤時間帯だったりすると、皆が遅刻を知らせる電話をしたり、メッセージを送ったりし始めるので、しばらくは、「まあ、みんな慣れたものだな・・」と大して怒りもせずに、淡々とやることを済ませていく様子をなんとなく観察しています。

 時には、駅ではなく、トンネル内で止まってしまうこともあるため、そんな時は止むを得ずに、車内に留まりますが、それとて、ふつうはそんなに長い間のことではありません。

 それが、先日、パリのメトロ4号線で、多くの乗客の帰宅時間帯に電車が止まってしまい、ちょっとパニック状態に陥りました。普段、たびたび止まるパリのメトロにも、日常の彼らの感情的な爆発のさせ方を思うと、比較的、怒っている人が少ない印象を受けるのですが、今回ばかりはちょっと違ったようです。

 それもそのはず、当日のパリは午後の気温が31℃まで上昇する熱波の中、数百人の乗客が2時間近く、オーブンの中のような電車の中に閉じ込められることになり、暑さが怒りに火をつけるかたちになり、パニック状態になりました。

 今回のメトロのブロックは、複数の問題が重なったもので、結果的に最悪の状況を引き起こした模様です。最初は午後6時頃に、信号機の故障により、部分的に自動化されている4号線の南部で最初に交通が減速していきました。

 その後、ポルト・ド。オルレアンとモンパルナス間のネットワーク全体が混乱し、列車の損傷が起こり、シテ駅で乗客がバッグをドアに挟み込み、警報が鳴り響き、これらのいくつかの事故が重なって、ついには、トンネル内で列車5本がストップしてしまいました。

 ブロックしてしまったメトロの車内では、詳しい説明もあまりなく、この暑さは乗客の不安と怒りを煽りたて、メトロの中は赤ちゃんが泣き出したり、1時間を過ぎたころから、子供だけでなく大人たちも怒りはじめ、全てを壊してやる!と警察に通報する者まで現れ始め、カオス状態になりました。

 立往生している車内には冷房もなく、暑さの中、水もなく、何よりも、いつ、復興するかわからない状態に人々の不安と怒りは増すばかりで、そのうち、メトロのドアをこじあけて、脱出し始める人が現れました。


 こうなると、メトロを動かすことは不可能で、警察も出動して、どうにか怒りまくりながら、線路を伝って避難する人々を落ち着かせようとしましたが、パニック状態になった乗客の怒りは鎮まりません。

 フランス人は、日本人のように我慢強くはないのです。

 もしも、自分がこんな長時間メトロに閉じ込められたら、どうするだろうか?と考えますが、私だったら、多分、周囲の人の様子をうかがって、やっぱり、同じように線路を伝って歩くだろうな・・と思います。

 場所にもよりますが、パリのメトロは比較的、一区間が短いところが多いので、次の駅まで歩ける距離であることも多いのです。

 一度、12号線が止まって、線路の上を歩いたことがありましたが、その時は、無理やりというより、運転手さんが乗客が線路におりるためのハシゴをかけにきたので、どちらかといえば、誘導された感じでした。

 いずれにしても、そんなに珍しくないパリのメトロの不通にしても、この暑さの中、2時間という長時間にわたり止まってしまうとは、困りもの・・拷問です。

 この日は、13号線にも事故があり、全線不通となったとかで、年々、着々と値上げしながら、なにかといえば、ストライキのRATP(パリ交通公団)、まずは、トラブルを軽減する努力はもちろんのこと、トラブルが起こった際のマニュアルくらいは用意してもらいたいものです。

 RATPは、今回は「異例の事件」であり、内部調査を始めると説明しています。

 過去には、2018年夏に、やはり自動運転化されている1号線で故障が発生し、過熱状態で数千人の乗客が通行できなくなったという記録が残っています。

 パリのメトロは夏に弱いのかも?


パリ4号線トンネル内2時間足止め


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