2022年11月26日土曜日

パリ市内のバス RATP(パリ交通公団)キセル乗車の取り締まり

 


 数ヶ月前だったと思いますが、バスを降りたところで、RATP(パリ交通公団)のコントロール(検札)の人が待ち構えていて、乗車券のチェックに遭ったことがあり、なるほど、降りたばかりの人を待ち構えていれば、逃げられないだろうな・・RATPもなかなか試行錯誤しているのだな・・コントロールも進化しているんだ・・と驚いたというか、感心したことがありました。

 バスにしてもメトロにしても、キセル乗車をあたりまえのようにしている人は、けっこういるもので、メトロの場合は平然と改札を飛び越えていったり、時には、あなたが改札を通る時に一緒に通らせてくださいと頼まれることさえあります。

 バスの場合は、一応、運転手がチェックすることもできるのですが、チケット、あるいは、Navigoと呼ばれる定期券のようなものを機械に通さなくても(通した時点で、チ〜ンと音がするので、チケットの場合はチケットの非有効化になり、Navigoの場合は有効なチケットを持っているという確認になっている)、運転手が乗客に無賃乗車を直接注意しているのを見たことはありませんが、代わりに「チケットを通してくださいという録音されたテープが流されることはあります。

 おそらく、無賃乗車を注意した場合に逆ギレされて、運転手に危険が及ぶことを考慮して運転手へ直接、攻撃が向かないためのことだと思います。

 そして、今日、バスに乗って、座ることができたので、座ってそのまま私はスマホを見て下を向いていたのですが、突然、私の目の前に仰々しい銀色のバッチ付きの手帳が提示され、何事かと顔をあげると、「チケットを見せてください」という検札の人が・・。

 これまでは、RATPの検札といえば、おなじみのペパーミントグリーンとブルーのRATPの制服やジャケットを着た人で、それも3〜4人の大所帯で、いかにも「検札でござい!」とばかりにやってくるのですが、今回は私服の女性二人組で、バスがある停留所を出発してすぐに前触れなしにいきなり現れたので、こちらもギョッとしたのです。

 やましいことがなくても突然、見慣れないバッチのようなものを見せられたら、ギョッとしてしまうのです。ましてや、私服、そのバッチでさえ見慣れないのですから、それがほんものんなのかどうかなどはわかりません。

 偽警察官の手帳を持っている詐欺などもいるという昨今、すべてに懐疑的な傾向を抱いてしまうことは、悲しいことです。

 しかし、検札用の機械を持って、私の持っているNavigoが有効なものであることをチェックすると、「ありがとうございました」とすぐに次の人へ・・。

 まあ、よく考えてみれば、狭いバスの中で、運転手も同乗している中で、偽物の検札が行われるとは考え難いのですが、制服を着ていないというだけで、こちらの方が、本物の検札なのだろうか?と思ってしまうのですから、制服の威力というものはスゴいものです。

 何人かチェックしていって、「意外とみんな、ちゃんと乗車券を持っているものだな・・と見るとはなしに、なんとなく気にしていると、やっぱり、キセル乗車をしている人がいたようで、「チケット出してください」「チケットは昨日、買ったのですが・・」などと、わけのわからない押し問答が続いたのち、結局、その女性は罰金を払わされることになり、身分証明書の提示を求められ、罰金切符を切られていました。

 その際に、「今すぐ払うなら、20ユーロ割引になります」と言われているのが聞こえて、「え??罰金に割引なんてあるの?うさんくさいな・・これって、本物の検札?」と思ったので、帰ってからRATPのサイトを見て調べたら、確かに、20日以内に支払うと20ユーロ減額されると書いてありました。

 RATP・パリのメトロ、バスの罰金は、チケットなし、あるいは第三者所有のNavigoを使用した場合は、50ユーロ、チケットの非有効化(Validé、チ〜ンとさせていない場合)は35ユーロの他、車内喫煙の場合は68ユーロと決められているようです。

 以前に、パリでの交通機関事情がよくわからない観光客がこの違反切符を切られたと嘆いていたのを聞いたことがあって、「パリにお金を落としてくれる観光客ではなく、もっと常習犯を捕まえればいいのに・・」と思ったことがありましたが、今は手法を変えながら、取り締まりを強化しているようです。

 しかし、今回、私が遭遇したこのRATPの検札隊は、黒っぽい服を着た中年の女性二人組で、言葉遣いもとても丁寧で、これまでの制服を着た、どちらかといえば、威圧的な感じの検札とは、まったく違って、とても感じのよい女性二人組でした。

 考えてみれば、キセル乗車をしているような人を相手にするのですから、パリでは、十分に身の危険もあり得る仕事、相手を怒らせないように丁寧で毅然とした態度で接することができる人を選んでいるのかもしれない・・と妙に納得をしたのでした。

 パリでは、これまで使用されていたいわゆる紙の切符というものが廃止されて、すべてカード化される方向にあり、すでに、切符が使用できない駅もあるので、ご注意ください。


パリ キセル乗車取り締まり


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