ディジョン大学病院で骨折で入院した母親が絶食状態で放置されたために死亡したと、遺族が病院を告訴するという事件が起こっています。
この事件は、8月23日、77歳の母親が骨折し、治療、手術のために入院し、翌日、夜の野菜スープの食事を与えられた後は、手術のために絶食が必要とされていたため、数日間にわたり、手術が延期されたために、その間、食事が与えられず、4日後には、脱水症状を起こして集中治療室に入り、その3日後には死亡してしまったという悲劇です。
この遺族の訴えに対して病院側は、「手術が延期になることが決定した時点で、毎回、彼女には食事を与えていたし、彼女のファイルには、その旨が記載されている」と発表しています。
しかし、遺族側は、「昼時に数回、面会に行ったが、彼女が食事をした気配はなかったといい、集中治療室に移動する事態に陥った際に医師からは、「完全な脱水状態にある」と説明があり、きちんと食事をしていたら、そんな事態はあり得ない」と病院側の説明には、全く納得していません。
そのうえ、病院側が医療機密の尊重と調査の適切な実施を理由に、患者の死の正確な状況を公にすることを拒否しているため、ますます騒動が大きくなり、ついには、ディジョン検察庁は、この告訴を受けて自発的過失致死罪で予備調査を開始したことを確認し、大学病院は検察庁から解剖を命じられました。
現実的には、骨折や3日間の断食で死亡するとは考え難いため、問題とされるのは、彼女が集中治療室に入る前の4日間に、少なくとも水分補給をしていたかどうかということにあります。
遺族にとっては、母親と同居していた障害を持つ妹の安全の方が気にかかっていたと語っており、むしろ、母親は病院に入院しているのだから安心していたといい、それはそのとおりで、骨折で入院した人間がまさか死ぬとは思っていなかっただけに、その衝撃も大きかったと思います。
病院の人手不足はいつも叫ばれていることで、緊急性の低い手術が延期されてしまうことは、十分にあり得ることだとは、思いますが、度々、延期になる手術のための食事管理等は、二次災害のようなもので、考えてみれば、そのようなミスもあり得ないこともないかもしれません。
しかし、少なくとも患者は、集中治療室に入る前までは、話ができない状態であったわけでもなく、絶食状態、あるいは水分をとれない状態に何かしらのアクションはとれたのではないかとも思えるところが疑問ではあります。
どちらにしても、医者が遺族に対して十分な説明を行っていないことも告訴の原因の一つとなっているこの騒動。少なくとも母親が死亡した場合に、その原因は何であったのか?知りたいのは、当然のことだと思います。
しかし、病院の記録というものは、どの程度、正確なものであるかは、私も疑問に思う経験がないでもありません。
それは、夫が亡くなった病院から、その1年後くらいに、「その後、体調はいかがでしょうか?」という手紙がご丁寧に届いたことがあり、「どうなってるの?この病院?」と少なからず不快な思いをしたことがありますが、もうその時点では、全て終わっている状態だったので、そのまま手紙は捨ててしまいました。
つまり、そのような手紙が届くということは、その病院(パリ市内の公立病院)での夫に関するファイルは不完全であったということなのです。
病院については、嫌な話ばかり聞くような気がしますが、滞りなく治療が済んだケースは、取り上げられることはないので、印象は悪くなる一方なのかもしれません。
それにしても、遺族側の訴えが事実だとしたら、骨折をしたばかりに空腹と喉の渇きに苦しんで死んでしまった・・しかも病院で・・というのは、やはりあり得ない話です。
ディジョン大学病院 骨折で入院、餓死
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