2022年11月6日日曜日

異常なスピードで拡大する乳幼児を襲う細気管支炎 小児用集中治療室が飽和状態

  


 10月下旬から救急外来を受診する乳幼児の数が急増し、小児用集中治療室が飽和状態に陥っています。

 10月24日から30日の1週間に、救急外来を受診した2歳未満の子どもは6,167人で、2021年の同時期の2倍となりました。前週との比較では、47%増と急増し、救急外来受診後の入院が1週間で45%増加しています。

 この救急外来の急増の原因は、気管支炎・特に細気管支炎と呼ばれる乳児と生後24ヶ月未満の幼児の下気道を侵すウィルス感染症の流行によるものです。症状としては、鼻水、発熱、咳、呼気性喘鳴(気道内部の一部が狭くなっているか、閉塞しているために起こる)、呼吸困難などが挙げられます。

 この細気管支炎の流行は実は毎年、起こっているもので、冬になると50万人近くの子供が感染し、約1万人が入院しています。多くの場合は、深刻な事態になることはありませんが、特に1歳未満の乳幼児の場合は、2~3%の割合で入院を必要とする合併症を起こしたり、蘇生を必要とすることもあるようです。

 一般的には細気管支炎の流行は、11月中旬に始まり、12月にピークを迎え、1月に終了するところ、今年は9月に最初の感染者が発見され、その後も感染者数の増加が止まらず、この流行がこれまでのものより5〜6週間早く始まったことや、増加のカーブが急速なことから、フランス公衆衛生局(Santé publique France)は、すべての地域が流行基準を超えたとして最大限の警戒態勢を敷くことを発表しています。

 しかし、現在のところ、フランス全土が同じ状態ではなく、東部は影響が少ないようですが、オー・ド・フランスとイル・ド・フランス地方は病床不足に悩まされており、すでに、イル・ド・フランス地方の病院に入院していた31人の赤ちゃんが、他の地方に移送されています。

 集中治療室の病床不足で患者を移送とは・・コロナウィルスによるパンデミックの初期の頃を彷彿とさせますが、それが2歳未満の乳幼児というのは、ますます痛々しい限りです。

 公衆衛生局は、「成人にとっては、軽症で済む感染が、乳幼児には危険であることがあるため、手洗い、哺乳瓶やダミーの共有、布団の定期的な掃除、赤ちゃんの部屋の換気などの感染のリスクを抑えるために必要な措置、警戒を怠らないことが必要である」と呼びかけています。

 この病気は40年ほど前から医療関係者に知られており、対処の仕方もわかっているため、コロナウィルスが発生した時のような脅威ではないとされているものの、問題は細気管支炎そのものではなく、問題は、病院が人手不足、病床不足にあり、それに対処していかなければいけないことであるとも言われています。

 しかしながら、この異常気象で夏が長く続いたにもかかわらず、早くにこの病気の流行が始まり、例年以上の増加を続けている理由は解明されていません。

 2歳未満の乳幼児が発熱、咳、呼吸困難などを起こせば、周囲は大人以上に過敏に反応することは、不可避です。我が家も一度、別の病気でしたが、すぐに救急へ連れて行きなさいと言われた時には、大慌てで真っ青になったことがありました。娘が酸素マスクをされた時には、夫は大きな図体をして、気を失いそうになったほどです。

 これまで、気管支炎に対するワクチンは存在していませんでしたが、サノフィ社とアストラゼネカ社が開発した乳幼児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症の予防を目的とした予防薬、ニルセビマブがEU(欧州連合)で承認されたばかりで、2023年から発売予定になっています。

 ニルセビマブは、厳密にはワクチンではありませんが、同じ予防の意図で働き、一回の注射で気管支炎の発生を予防することを目的としています。合成抗体治療薬であり、病気と戦うための武器を直接身体に与えることができます。

 1回の投与ですべての赤ちゃんの気管支炎重症化を予防できる初めての薬とされています。この新しい治療法は大きな進歩で、すでに知られている治療法よりも長持ちするのが利点です。3カ月目以降に効果が薄れるとはいえ、6カ月間は子どもを守れるように製造されています。

 しかし、新薬をかよわい乳幼児に使うというのも、これまた親からしたら、躊躇してしまうところです。

 いずれにせよ、こんな異常な速度や威力で病気が拡大するとは、こわい話、しかも、また病床不足・・私はこんな病気など知らないままに子供は大きくなりましたが、子育て中の方、十分にお気をつけください。


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