フランスでは、年間13万トンの牡蠣が生産され、そのほぼ半分がクリスマスから元旦にかけて消費されます。フランスでは、日本で多く売られているようなむき身の牡蠣ではなく、殻付きのまま売られているのが一般的なので、「牡蠣の殻をあけること」は、フランスに来てから自分でできるようになったことの一つです。
やはり、クリスマス前になると、魚屋さんの店先に牡蠣がのカゴが並び出すので、なんとなく、食指が動くことになります。しかし、普通は、自分で牡蠣殻をあけなければならないのが面倒だったり、大量に出るゴミが煩わしいので、私は、せいぜい牡蠣を買うのは一年に1度か2度です。
フランス人はノエルの食事には、大変な力の入れようで、クリスマスイブとクリスマスの当日、そして大晦日の年越しと元旦には、普段はあまり料理をしない人も、それぞれにメニューを工夫しながら、華やかにテーブルを飾るのですが、その数日のごちそうのうちにはやはり、牡蠣が入ることも多いのです。しかし、若い子には、そんなに人気のある食品ではなく、娘の友人などでは、嫌いな人も多いと言います。
そういう娘は小さい時から牡蠣(生牡蠣)は大好きで、フランス料理が苦手だった彼女はフレンチのレストランでは牡蠣だけを平らげて、周囲を驚かすこともありました。
話は逸れましたが・・とはいえ、一年のうちの半分以上がこの時期に売れるという牡蠣の生産者は今からノエルのこの時期に向けて、牡蠣の生産を調整しています。
ところが、夏から秋にかけての度重なる猛暑により、牡蠣の生産者は大変な被害を被っています。
エロー県(オクシタニー地域圏)の貝養殖業者は、この夏の度重なる熱波の異常な猛暑にもかかわらず、最悪の事態を避けることができたと言われていました。しかし、秋になって、一部の流域で著しい量の牡蠣の死滅が発見される被害が明らかになり始めています。
この大量の牡蠣死亡事故は、通常ならば、秋になり、盆地が冷え込むことで避けられるのですが、今年は、長すぎたこの猛暑の秋と関係していると言われています。また、夏の暑さでストレスを受けた牡蠣は餌を食べなくなり、成長が止まってしまったこともあります。
夏バテで食欲がなくなるのは牡蠣も同じなようです。
この現象は、牡蠣の生産量に影響を与え、年末年始の供給が少なくなる可能性があり、結果として、価格が上昇すると見られています。
過去20年にわたる海域汚染削減活動のおかげで、この海域内の酸素濃度が大幅に改善され、アマモ場も復活し始めていました。
しかし、このような夏が続き、地球温暖化が進めば、これらの努力も徒労に終わる可能性があり、水温は上昇を続け、過剰な二酸化炭素を自然に吸収する海洋の変化により、全体の生態系が大きく狂う可能性があります。
水温が1.5℃上昇したことで、この環境に適応できるような新しい微生物が出現する可能性があり、海の中では新しい世界が生まれ始めているといいます。
変化は海の中だけではないのは、明らかで異常気象により、地上では水が蒸発し、降雨パターンが変化し、ある地域では降雨量の増加とそれに伴う洪水が、また他の多くの地域では干ばつがより激しく、より頻繁に発生し、多くの農作物も成長サイクルを変化させる、あるいは育たなくなるため、新しい気候条件に耐えられるための、品種を選んで適応させなければなりません。
現在、環境活動家が美術館で絵画に食べ物をぶちまけたりする理解できない行動が続いていますが、もっと具体的に現実問題に取り組まなければならないのは必然なのです。
牡蠣生産業者 地球温暖化
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