2023年6月18日日曜日

妻を殺して3ヶ月間ウソをつき続けた男 逮捕拘留の末、自白

  


 今年の3月27日以来、行方不明になり、目撃者を募っていた女性について、ここひと月ほど、かなり頻繁に報道されていました。彼女が失踪?する直前まで一緒にいたという彼女の夫は、彼女の失踪時の様子などをテレビのインタビューに答えて説明していました。

 彼女の夫は、彼女が自発的に失踪したであろうという見解を述べ、自身のFacebookなどに、「私たちは、あなたのことをとても心配しています!安否だけでも知らせてください!」という妻宛てのメッセージ投稿したり、テレビに向かって呼び掛けたりもしていました。

 また、彼女がいなくなった時の状況について、彼女が消えた当日、彼らは一緒にいて、猫を追いかけるために、2人で庭に出たが、その数分後に、突然、彼女は消えてしまったと説明しており、その後に家の中のものを確認すると、彼女の歯ブラシや電子タバコ、リブレ・ド・ファミーユ(家族証明書のようなもの)に加えて、金庫に保管されていた4万ユーロ相当の現金などがなくなっていたと話していました。

 また、彼が「妻が自発的に失踪したことは間違いない」とする理由として、失踪の数日後に彼女の携帯から末娘の携帯に2枚のピラ砂丘の写真とともに、海外に行くつもりだというメッセージが届いていると説明していました。

 夫は「あまりに突然、彼女が消えたのは、タクシーかウーバーを利用する以外にあり得ないことだ!」と話していましたが、捜査線上にそのようなタクシーもウーバーも浮かんでこずに、事件は当初、「誘拐・強制監禁」の疑いで捜査が開始されました。

 しかし、彼女をよく知る人は彼女が子供の誕生日が近いのに、失踪するような人ではないと証言し、また、誘拐された痕跡や目撃者等が現れないことから、疑惑は夫に向けられるようになりました。

 この事件の証言者には、彼女の姉妹や元夫、夫の元妻などが出てきて、なかなかフランスらしい複雑な家族関係が垣間見れると思っていたのですが、そのうちに、この夫と失踪したとされる妻は4年来の家庭内別居状態で、金銭的な事情により、同居していただけで、不仲であったことが浮き彫りになってきました。

 彼女の失踪届けは実際に彼女が失踪してから、約1週間後に提出されており、また、彼女の携帯電話は、それからさらに1週間後に自宅から数メートルの場所で発見されました。

 しかし、携帯にはSIMカードは入っておらず、また、満タンに充電され、汚れもなく、放置されて時間があまり経っていないことを示していました。そのうえ、末娘に送られたピラ砂丘の写真はネットからダウンロードされたものであったことも発覚しました。

 世間の疑惑は夫に集中し、彼に対する誹謗中傷などがネット上で湧き上がり、ついに夫は容疑を否認するまま、逮捕されました。

 1日目の拘留では否認を続けていたものの、拘留が延長になり、2日目になると、彼はついには、突然、泣き出して、「銃の手入れをしていたところ、間違って発砲してしまい、妻を殺してしまった」と自白しました。

 3ヶ月近くにわたって、警察に対しても、マスコミに対しても、ウソをつき続けていた男は、彼の弁護士によれば、「精神的にも体力的にも大変、弱っている・・」とのことですが、自業自得。彼の「あくまでも事故だった・・」という話は、さんざんウソをつき続けてきたこともあり、また、銃に消音装置がつけられていたことなどからも、もはやあまり、信用されていません。

 彼女の遺体は彼の自白どおりの場所、自宅からそう遠くない森の中に土もかけられず、(埋葬されず)捨てられるような状態で放置されていたのが発見され、凶器となった銃もそこから遠くない場所で発見されました。

 気の毒なのは、彼らの子供たちで、彼女は全夫との間の子供を合わせると、5人の子供の母親でしたが、特に現夫との間の長女などは、インタビューに答えて、「父親が有罪の証拠は何もない、全ては父の犯行ではないことを示している!」と訴えていました。

 父親の無実を必死に訴えていた娘は、母親とともに父親も失ってしまったのです。

 このような失踪事件?(結果的には殺人事件だった)の場合、必ず、誰かが言い出すのは、「誰にも失踪する権利はある・・」というものにも、それを聞くたびに、閉口しますが、「女性の失踪届けが提出された場合、結局は夫に殺されていた・・」というシナリオは少なくない気もします。

 それにしても、失踪時に関する彼の証言、庭で猫をおいかけたとか、金庫から4万ユーロや歯ブラシや電子タバコがなくなっているとか、偽装のために末娘の携帯にメッセージを送るとかの全てのシナリオは彼が作ったものであり、彼の犯行を隠すための偽装工作であったのは、もはや明白ですが、そのわりには、遺体を埋めもせずに放置するというのは、なんだかちぐはぐな感じもします。

 それにしても、フランスは、女性が殺人事件の被害に遭う場合はそのパートナーによって殺される場合が多いのには、ちょっと驚愕の事実でもあります。


妻殺し 嘘つき


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