ソーヌ・エ・ロワール(ブルゴーニュ地方)の小さな村クレッセで、地域の住民によって、村役場の裏にある市営競技場で血まみれの13歳の少女の遺体が発見されました。少女が身につけていたとみられるアクセサリーや上着が痛いからさほど遠くない道路で発見され、周囲に血痕があったことから、彼女が傷を受けてから、逃げようとしていたことがわかっています。
少女には、胴体上部、肩、顔、首に数十ヶ所のナイフで刺された傷跡があり、1本のナイフが首に突き刺さっている状態だったと言います。
少女の友人の証言から、捜査官はすぐに彼女のボーイフレンドを突き止め、遺体が発見されたその日に、彼女の交際相手だった14歳の少年を学校で身柄を拘束しました。一時は、関係を断ち切っていた二人は、最近、交際を復活させ、夜中に再び会うようになっていました。
過去にこの少年は、誰かを、特に自分のガールフレンドを殺すという不穏な言葉を口にしたことがあったそうですが、周囲の友人たちは、不穏に感じつつも、これらの発言をブラックユーモアとして受け止めていたそうです。
そりゃそうです。たとえ、「殺してやる!」などと、嘯く人がいたとしても、「乱暴な言い方をするな・・」と嫌な感じを受けても、まさか本当に殺すとは思いません。
学校で身柄を拘束されたということは、自分の彼女を殺して、普通に学校に登校していたということで、しかも、遺体を隠すこともなく、自分に疑いがかかることは考えなかったのか? それとも、じきに捕まることは覚悟のうえのことだったのか?まるで理解できませんが、彼はあっさり警察で自分が彼女を殺したことを自供したそうです。
彼の自供によると、ここ数日は頻繁に夜中に彼女と会う約束をしていたため、彼女には、不審に思われることはないと思っていたが、その日は彼女を殺すつもりで、かねてから、扱いを練習までしたナイフを袖に隠してでかけ、しばらく話して様子を見計っって、首を3回刺したと言います。
逃げようとした彼女を殴り、再びナイフで切りつけて殺したことを自供しています。しかし、犯行の動機については、語られていません。
この事件は犯人が14歳の未成年の少年であるということや、その犯行の残虐さや、また、彼自身が父親からDVを受けていたこと、また、未成年の殺人という犯罪の量刑についてなど、様々な見地から波紋を呼んでいます。
逮捕後に彼自身についての捜査が進むにつれて、彼は子供のころから、暴力にさらされて過ごしてきたことが浮かび上がってきました。両親の別離を背景に、不安定な家庭環境の中で生きてきた上に、数ヶ月前には、彼は頭蓋骨を縫った状態で登校し、父親にハンマーで殴られた結果だと友達に説明していたといいます。
なぜ、恋人であるはずの彼女を殺さなければならなかったのか? 殺すほど憎い人ならば、関わらなければよさそうなものを交際を復活させてまで殺人に及んでしまった、しかも計画的に殺そうとしていたことなど、彼自身が父親から暴力を受けていたことから、身近な誰かを傷つけたかっただけなのか? その真相については語られていません。
この異常な犯行に少年は、精神鑑定を受けましたが、彼の犯行は詳細にわたって計画されているもので、本人もその犯行の一部始終を細かく記憶していて、説明しているため、責任能力は問える状態であると判断され、すでに起訴、裁判所は、実刑(懲役刑)を求刑しています。これにより、彼はすでに少年刑務所に収監され、最高で20年の懲役が課されることになります。
殺された13歳の少女は、中学2年生、前日の夜、寝る前に彼女を見たのが最期になってしまった両親は、遺体が発見された朝は、彼女がまだ寝ていると思っていたそうです。
しかし、度々、夜中に13歳の少女が家を抜け出しているのに気がつかないのもどうかと思いますが、彼女の両親にとっては、前の日の夜の彼女は幸せそうで、このような凄惨な事件が起こるなど、微塵も思っていなかったということです。
以前にも、14歳の恋愛感情のもつれから、暴力を受けた後に、セーヌ川に投げ捨てられた少女の事件がありましたが、あの時は、被害者の親も加害者の親もインタビューに答えたりして、フランスは、当事者の親までマスコミで堂々と証言をするんだ・・と驚いたことがありましたが、今回の事件に関しては、被害者、加害者の両親ともに公には口を閉ざしています。
この事件が起こったのは、ソーヌ・エ・ロワール(ブルゴーニュ地方)のクレッセという人口850人といわれる小さな村での出来事で、パリ近郊の大都市圏とは、地元の住民の捉え方も違うのかもしれません。
未成年の殺人事件というのは、さすがにそんなに起こることではありませんが、なぜか、目にする機会が多いように感じる14歳という年齢。
今回の場合は、犯人の少年もかなり陰惨な家庭環境でDVを受けながら育ってきた様子で、彼自身も被害者でもあったとも言えるかもしれません。
しかし、13歳〜14歳という年齢、背伸びしたい年頃とはいえ、まだまだ子供。娘がその年齢の頃を考えれば、夜中に出かけるなどもってのほか、親の責任がまだまだ大きい年齢です。
こんな陰惨な事件の被害者には、申し訳ないし、不謹慎でもありますが、つくづく娘が無事に育ってよかった・・子供が無事に育つのって奇跡的かも?などと思ってしまうのです。
フランスの14歳の殺人事件
<関連記事>
「嫉妬による嫌がらせから起こった14歳の殺人事件 セーヌ川に捨てられた少女」
「グループ抗争による2件の乱闘事件で、中学生2名死亡 14歳は危険な年齢か?」
「フランスの家庭内性暴力の犠牲者が起こした殺人事件 ヴァレリー・バコの裁判」
0 コメント:
コメントを投稿