2022年6月5日日曜日

マクロン大統領の「ロシアに恥をかかせるな」発言と山積みのひまわりオイル

  


 マクロン大統領がフランス地方紙のインタビューで、「私は、ロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、プーチン大統領は、ロシア国民にとっても、自分自身にとっても、歴史的かつ根本的な間違いを犯したと思うし、本人にもそう伝えた」、さらに、「彼は孤立してしまったし、孤立も問題だが、そこから抜け出すことは、困難な道で、停戦に至り次第、外交的解決する道を残しておくために、ロシアに屈辱を与えてはいけない」と語りました。

 この発言は、「ロシアのウクライナ侵攻が歴史的な過ちである」というかなり明解な発言とともに、「侵略者に恥をかかせてはいけない」という現状況では、ともすると理解し難い発言が波紋を呼んでいます。

 マクロン大統領は、戦争開始前後から、おそらくどこの国の首脳よりもプーチン大統領と話をしてきたであろう人物で、これまで両者の会談の内容は、エリゼ宮や彼自身(マクロン大統領)、クレムリンからそれぞれに発表されてきましたが、それぞれの発表には、ところどころ食い違いがあり、また、具体的な詳細については報じられてきませんでした。

 マクロン大統領が彼を怒らせずに、自分自身も怒らずに会談を続けてきたのは、並々ならないストレスであったと思われますが、今回の「ロシアに屈辱を与えてはいけない」という発言は、プーチン大統領に対してのアピールだったような気がしています。

 しかしながら、このアピールは所詮はアピールでしかなく、プーチン大統領にとっては、この侵攻に失敗していることはとうにわかっていることにもかかわらず、落とし所が見つからず、中途半端に停戦することは、そのこと事態が屈辱で、両者の会談は、残念ながら、結局、噛み合っていないことがわかるような気がします。

 また、この発言に対して、ウクライナのドミトロー・クレバ外相は、「ロシアに恥をかかせないという声は、フランスや他の国に恥をかかせることにしかならない」「ロシアに恥をかかせることに集中したほうがいい」と猛反発しています。

 しかし、マクロン大統領は、このインタビューの中では、「ウクライナへの財政・軍事支援を強化する」、「ウクライナから穀物を輸出するためにあらゆることを行う」とも述べており、ウクライナへの支援は引き続き強化していくことを表明しているので、ウクライナとて、真っ向からフランスを否定することは不可能です。

 ウクライナからの輸出が滞っていることによる、この食糧危機問題は、私の身近なところでも目の当たりにしています。

 昨日、スーパーマーケットに買い物に行ったら、ここのところ、ガラガラだったオイル(特にひまわりオイル)と小麦粉が売り場の中央に「どうだ!」と言わんばかりに山積みにされていました。

 


 

 「えっ?」と思って、手に取ってみると、いつもは見かけないパッケージのひまわりオイルでウクライナ産のものでした。毎日のように戦場と化し、廃墟のようになっている「あのウクライナで作られたものなんだ・・」と思うだけで、なんとなく複雑な思いにかられたのですが、同時に驚いたのは、その値段、先週、申し訳程度に棚に並んでいた同じサイズのオイルが一週間で30セント値上がりしています。

 隣に山積みにされていた小麦粉は、これまた普段、見かけないパッケージのもので、こちらは、ルーマニア産でした。

 こんな勢いで物価が高騰していくのは堪りませんが、この戦争が続く限り、このインフレが止まらないのは、明白です。

 自らが蒔いた種とはいえ、ロシアも屈辱的な撤退は絶対しないであろうし、ウクライナ側もこれまで多くの犠牲者を出してきてしまったからこそ、「すべての武器を受け取っていない限り、陣地を強化していない限り、ロシア軍をウクライナの国境からできる限り押し戻していない限り、停戦交渉する理由はない」とますます強硬な態度です。

 残念ながら、現時点では停戦協議にさえ進まない状況、パンデミック以来、来年には・・と思い続けてきたのが、まだまだ続きそうで、コロナも戦争もなかった平和だった時期が遠い昔のような気がしてきました。


ロシアに屈辱を与えるな マクロン大統領発言 ひまわりオイル


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