2022年6月20日月曜日

最近、猛暑時に必ず起こるストリートプーリング

   


 ここのところ毎年、ちょっと耐え難い猛暑がやってくるたびに、一部の地域では、消火栓を開けてダイナミックに「噴水」を作り涼をとり楽しむ人々が登場します。これを「ストリートプーリング」と呼んでいるようです。

 特に40℃を超えるような暑さともなれば、このような噴水があったら、どんなに涼しいだろうかと思わないこともありませんが、違法であり、危険でもあります。

 パリ北部郊外のセーヌ・サン・ドニなどでは、これが頻繁に起こり、パリ消防局・警察は、「ストリートプールは違法行為、感電、断水、消防隊員の介入妨害などのリスクもあり、最高5年の禁固刑、または75,000ユーロの罰金に課せられる可能性があります」と呼びかけています。

 そもそも、私が最初にヨーロッパに来た時に、夏、暑くなると、街中の噴水などをプール代わりのように使って、涼んでいる人々がいることにびっくりした覚えがあります。

 子供が水のあるところでついついはしゃぐくらいなら理解ができるのですが、大の大人が臆面もなく、街中の噴水に浸かったりするのですから、なんと、野蛮な人たちなんだ・・と思っていました。

 まあ、ちょっと暑くなり始めると、目立ちたがりで頭がおかしい人が現れるんだな・・くらいに思っていたのですが、今から考えてみれば、今、問題になっているストリートプールに比べれば、あらかじめ用意されている噴水に入っていくことくらい、まだ全然マシだったわけです。

 しかし、この噴水などに入って水浴びをしたり、水遊びしたりする人は以前よりも格段に増え、(私自身がそんな光景に慣れてしまって、あまり驚かなくなって感覚が麻痺してきたこともあるかもしれない)、暑さが異常になってきたこともあると思いますが、これが容易に許容されるというか、珍しくない感じになってきていることを感じます。



 もちろん、消火栓は緊急時の消火用のため、いざという時のためで、消火栓自体が破壊されてしまうこともあるので、消防隊だけでなく警察が介入しての衝突が起こります。そもそもフランスでの消火活動といえば、不用意に起こる火事だけでなく、車が燃やされたり、デモが暴徒化してゴミ箱や建物が故意に燃やされたりすることが少なくないので、想像以上に実際に必要なケースは多いのです。

 一見、涼しげで楽しそうに見えてしまうこの光景も一旦、消火栓が開けられると、消防隊が介入するまでの間、数百リットルの水が流れ出し、水道供給のネットワークの圧力が低下してしまい、最悪、飲料水の停止にまで繋がってしまいます。

 また、放出されたジェット水流は数メートルの高さに達するために感電しの危険性を伴う電気配線に到達する可能性があるのです。

 ただでさえ、この猛暑で枯渇する貯水、大量の飲料水の損失も引き起こします。

 最近、サン・ドニで消火栓の解放により6歳の子供が空中に投げ出され、危篤状態に陥ったことがありました。

 なにか、野蛮な事件が起こるといえば、「また、サン・ドニ(パリ北部に隣接した地域)か・・と思ってしまうのですが、残念ながら、この地域はロクなことが起こりません。

 野蛮なタイプの若者の悪ふざけのお遊びのような感じでもありますが、最高5年の禁固刑または、最高75,000ユーロの罰金、75,000ユーロといえば、日本円にして、軽く1千万円超えの大金です。

 悪ふざけの水遊びにしては、かなり高くつきます。


ストリートプーリング


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