私がフランスに来る前の印象では、フランス人はツンとしていて、なかなか感じ悪い印象がありました。実際に、パリに旅行で来た時(といっても、かなり前の話ではありますが・・)には、何か英語で尋ねても、わからないふりをされたりしたことがあったりしたためで、「フランス人ってほんと、感じ悪い!」と思っていました。
そのころとは時代も変わり、こちらから頼まなくてもレストランなどで英語で話してくれたりするようになって、今となっては、逆に突然の英語にドギマギするほどなのですが、考えてみれば、日本人だって、日本で突然、英語で話しかけられれば、「ノー!イングリッシュ!」などと拒絶する人はいるだろうし、まぁ、似たり寄ったりのところはあるのかもしれません。
しかし、実際に生活してみれば、フランス人というのは、とかく話題に加わりたがる人たちで、知らない人とでも、気さくに話かけることが多い気がします。
最近、特に思うのは、パリのバス停というのは、知らないおばちゃんたちが、世間話に花を咲かせる場であるということです。先日もバスで出かけようとして、バス停に向かい、バス停にたどり着くと、まず、私の乗りたいバスがあと何分で来るのかをチェックするのですが、同じようにバスを待っているおばちゃんたちが、待ってましたとばかりに、私の顔色をのぞき込み、けっこう待ち時間が長いのを知った私が、うんざりした顔をすると、「バーウィ~!」(そうでしょ!みたいな意味)と言ったのを機に、おばちゃんたちの井戸端会議がスタートしたのです。
井戸端会議というより、グチの吐きあいというか、まず、パリの交通機関のトラブル自慢大会で、「この間、どこだかに出かけるのに2回乗り換えに2回ともそれぞれ40分以上待たされた・・」「そのうえ、Navigo(パリ近郊の定期券のようなもの)はまた値上げ!84€になるんだってよ!」、「バスを30分以上待っていても、そのあとに続けて2台同じ行先のが来るのは、お決まりのパターンでしょ!」「運転手のせいではないけど、どうにかするべきでしょ!」
「なにもかもが値上がりするうえに、停電するかもしれないんでしょ!」「いやいや、停電はしないと思うけど、一度、暖房が切れて、部屋が冷えて、温めなおすには、3倍の電気がいることになるのよ!」「3倍かかる電気代を払うのは私たちなのよ!」「もう、支払いのために働いているみたいでしょ!もう仕事やめたい!」(インフレ関係なく支払いのために仕事をしているのは、変わりないけどな・・などと思いながら聞いていました)
おばちゃんたちのおしゃべりは、バスが来るまで止まることはありません。これが世間の生の声というものか・・などと思いながら、私は、炸裂するパリのおばちゃんパワーに適当に相槌をうちながら、けっこう楽しみながら、退屈せずにバスを待つことになります。
もちろん、このおばちゃんたちは知り合いでもなんでもなく、その場限りの通りすがりの人たちなのですが、そこそこの発散の場になっているのかもしれません。
そんなおばちゃんたちに遭遇するのが、以前よりも頻繁になっている気がするのは、世間の不満が高まっているということなのか? 私がそのおばちゃんたちの空気を妨げないものを身に着けてきたのかはわかりませんが、否応なしに待たされるバス停という場は、意外にも井戸端会議の場になっている気がしてなりません。
そんな気がしてくると、もうバス停で座っているおばちゃんがいるだけで、もう話をしようと待ち構えているような気さえしてきて、また、予想どおりに、かなりの割合で話が始まるのも、苦笑いしながら、「やっぱりまただ・・」などと思うのです。
日本だったら、絶対にないと思われるバス停での知らないおばちゃんとのおしゃべり、とにかくフランス人はツンとしているどころか、話好きの人が多いことは、間違いないと確信に変わり始めています。
パリのバス停 井戸端会議
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