2022年12月5日月曜日

フランスで最も有名な日本人留学生死去のフランスでの報道

 


 恐らく彼は、歴史上、フランスで最も有名な日本人留学生であったろうと思います。事件当時、まだフランスにはいなかった私も、彼のニュースは、日本でも報道されていた記憶が微かに残っている気がする程度ですが、その後もかつてそういう人がいたということは、たびたび報道されていたし、猟奇的な殺人事件が起こったりすると、必ず、比較対象として、挙げられてきたような気がします。

 それは、のちに本人や周囲によって書籍化されたり、映画化された「食人鬼 佐川君」の事件です。

 1981年6月、ソルボンヌ大学に在学中だった佐川君は、同級生であったオランダ人の女学生を自分のアパートに夕食に招き、そこで彼はライフルで彼女の後頭部を撃ち、レイプした後、彼女を切り刻み、3日間にわたって体のさまざまな部分を食べ、その写真を何枚も撮影しました。

 その後、彼は2つのスーツケースに彼女の遺体を入れて、ブローニュの森で処分しようとしましたが、目撃者による通報により、発見、逮捕されました。

 逮捕後、彼の自供によると、かねてから彼には、人肉食願望があり、「この子を食べる というのは、愛の表現であり、好きな人の存在を自分の中で感じたかった」と驚きの告白しています。

 事件後の精神鑑定により、彼は心神喪失状態であったと判断され不起訴処分となり、しばらくパリの精神病院に入院後、日本へ帰国し、都内の精神病院に収容されました。日本の病院においても、彼の精神鑑定が行われ、日本では彼の心神喪失状態は認められず、精神障害ではなく、人格障害であったとされ、日本では刑事責任を問う方向で警察も動いていたものの、フランス側から、「不起訴処分となった事件の捜査資料の引き渡しはできない」という理由で、彼は刑事責任を追及されることから解放されました。

 フランスでは、彼はその後に日本でベストセラー作家となり、マスコミのスターになったとも伝えられ、彼の行為は世間に衝撃を与えたと同時に、ある種の病的な魅力を与えたともいわれています。

 しかし、先日、彼が事件から40年後に日本で死去したニュースがほぼすべての大手新聞社の紙上で報道されたことは、この事件がフランスでもどれだけ衝撃的な事件であったかを物語っています。

 先月、パリでアルジェリアからの移民であった女性が少女を殺害してスーツケースに遺体を入れて捨てた事件でフランス中が震撼とさせられ、同時に移民問題も持ち上がって大騒動になりましたが、思うに「佐川君事件」は、当時、それ以上の騒ぎになっていたに違いありません。

 事件が起こったのは、日本がバブル景気に沸く直前で、その時期にパリにいた日本人学生は、決して少なくなく、佐川君と同世代の日本人はけっこうパリにも多くいて、また、私の知る限り(知り合い)では、なかなか強烈なキャラクターの人も多いような気がするのですが、当時、彼らがどれだけ居辛い思いをしたかと、思わずにはいられないのです。

 差別的ともいえるかもしれませんが、移民としては、日本人は決して、問題視されたり、危険視されている国民ではないだけに、佐川君の事件は、「日本人が・・日本人なのに・・」として、余計に衝撃的であったに違いありません。

 彼の死去のニュースが流れるまで、私は、すっかり佐川君事件のことは忘れていましたが、毎日のように陰惨な事件が起こっているフランスにおいても、フランスのマスコが事件後40年経っても、彼が日本に帰っても、彼のことを忘れることはないほどの衝撃的な事件だったのです。


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