2019年11月6日水曜日

画家を志してパリへ来た日本人




 芸術の都と言われるパリならではなのか、パリには、日本から、絵を志して、移住している人が少なからずいます。

 私も少しですが、パリで絵を描いている日本人を知っています。

 画家を志してフランスに来ても、それを生業に出来る人は、ほんの一握りもいないでしょう。その多くは、一時の留学に留めるか、しばらくいても、結局は、諦めて、日本へ帰るか、そのままパリに留まるために、何か他の職業に付いて、絵を描き続けています。

 今は、長期滞在するビザを取ることは、そんなに簡単ではないようですが、一時期は、フランス政府の政策で、移民を積極的に受け入れるために、ビザを取りやすかった時期や、また、不法労働者から、税金を徴収するために、一定期間中に、自己申告して、雇い主との契約ができれば、ビザが取得できるという期間があったようです。

 実際に、この期間中に、移住、もしくは、長期滞在に切り替えている人は、かなり多く、それまで、学生ビザなどで、滞在していた人なども、この時期から、パリに長期で滞在、居住することになった人も多いのです。

 その中には、画家を志していた人も少なからずいたのです。

 その世代の人たちの中で、ある絵描きさんの御一家がいます。

 ご主人の方が絵を描き続けていらっしゃる方で、最初は、ご夫婦二人で、パリにやって来たようです。ご主人の方がかなりの資産家なのか? ご両親にブローニュの方に家を買ってもらって、当初は、生活費も送ってもらっていたようです。

 しかし、数年して、子供ができて、生活も拡大していくと、生活費もかかるようになり、かと言って、絵では、お金にはならず、でも、絵は諦められず、そのうちに、奥さんの方が働き始めました。

 外野の私が言うことではありませんが、子供ができた時点で、ご主人は、少なくとも、生活の糧を得られる道を探すべきだったと思うのです。

 あくまで絵を追求するというような、難しい芸術のことは、私には、わかりませんが、人として、子供に対しては、責任があると思うのです。

 こもりっきりで、売れない絵を描き続ける父親のせいかは、わかりませんが、上の子供は、優秀で、医学部に進んだものの、周囲の人と関わることが苦手で、医学の研究の道に進みましたが、下の子供は、自閉症だとのこと。

 唯一、社会に出て働いている奥さんの方も、あまり、そのことを公にしたくないのか、本来なら、自閉症のようなハンディキャップのある子供なら、フランスの場合は、色々な社会的な保障を受けられるところを、それも受けずに、子供は、大きくなりました。

 ご本人たちが納得して、こういう生活をしているのでしょうから、外野があれこれ言うことではありませんが、この御一家を見るにつけ、芸術で身を建てるということの難しさを考えてしまうのです。

 芸術を志すということは、結局は、日本にいても同じことなのかもしれませんが、言葉の問題や、何か少しでもお金になるような仕事を探すにしても、簡単にままならないのが海外生活です。

 現実の日常生活と芸術の兼ね合い。
海外だと、余計に、厳しそうだと思うのは、私だけでしょうか?

 

 

 









0 コメント: