満員電車とフランス人のパーソナルスペース
東京のラッシュアワーの満員電車は、おそらく、体験した者でなければ、わからないであろう世界的にも驚異的な空間のひとつだと思います。
東京ほど、人の多い街は、なかなかありません。
パリなど、都会とはいえ、小さい街で、日常的な人の混雑といっても、東京の比ではありません。
私もかつては、東京のラッシュアワーの電車に乗って通勤していましたから、逆に、こちらに来て、メトロが混んでいると、東京の電車の混み方から考えると、混雑といっても、まだまだ、乗れる電車を見送って、次の電車を待つ人々にびっくりしたものです。
でも、よく考えてみれば、少し待てば、次にやってくる電車に乗れるものを無理やり乗り込もうとするのもおかしな話ですが、東京の場合は、一本、見送って、次に乗ったところで、次の電車もギューギュー詰めな訳で、それはそれで、致し方ないのかもしれません。
私が東京で乗っていた地下鉄も、駅員さんが乗り込もうとする乗客の背中を押し込んで、乗せていましたから、ヨーロッパの人たちから見れば、クレイジーだと思うに違いありません。
パリでは、渋滞などで、バスがなかなか来なかったりすると、当然、バスを待つ人は、膨れ上がり、やっと来たバスに、たくさんの人が乗り込もうとすることがありますが、先に乗った人が、もっと奥に詰めれば、まだまだ人が乗れそうな場合でも、すでにバスに乗っている人々は、さほど、人との距離を詰めようとはしません。
最初は、なんて、利己的な人たちなんだ!と思いましたが、これは、おそらく、フランス人の他人との距離の取り方、パーソナルスペースの習慣の違いなのではないかと思うようになりました。
海外では、日本と比べると、スキンシップも多くて、一見、人との距離は、近そうに感じるかもしれませんが、実のところ、他人との距離は、常に彼らなりの一定の距離を取っているのです。
しかし、たまに、ストライキなどで、間引き運転・・などとなったパリ近郊を走る電車などの混雑の折りには、さすがのフランス人も混んだ電車に、必死で乗り込もうとするのですが、混雑した満員電車に乗り馴れてない彼らの乗った満員電車は、恐ろしい状態になるのです。
東京の満員電車は、日々の鍛錬からか?みんな、それなりのマナーがあり、全員が同じ方向を向いて、あれだけの数の人が乗っているにも関わらず、異様に静かで、大人しく乗っていますが、日頃、満員電車は、避けて次の電車を待っている彼らは、混雑にも慣れておらず、混んだ電車に乗っている人々も銘々があっちを向いたり、こっちを向いたり、非効率な乗り方で、エラい騒ぎになるのです。
一概に、どちらが良いとも言えませんが、電車の乗り方ひとつを取ってみても、お国柄というのは、出るものだ・・とつくづく思います。
もし、日本のような災害がフランスで起こったら・・と思うと、ちょっと、怖い・・とフランスの満員電車を見るたびに頭をかすめるのです。
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