2019年11月15日金曜日

フランス語には、引きこもりという言葉はない




 フランスには、「引きこもり」に当たるフランス語は、ありません。ですから、「引きこもり」のような状態を説明するには、「HIKIKOMORI」という言葉を使います。

 また、フランスでは、引きこもりと似たような状態で、ニートという言葉が混同して使われることもありますが、このニートというのは、Not Education Employment or Training つまり、学校にもいかず、仕事にもいかず・・という意味で使われているので、確かに、ニートの人が引きこもりでもある可能性もありますが、必ずしも、引きこもりとは限らないので、引きこもりに関する正確な把握は、出来ていません。

 つまり、フランスには、引きこもりが全くいないわけではないけれど、それが社会問題になるほどの数では、ないということです。

 それは、おそらく、フランス人が日本人ほど、過保護ではなく、ある程度の年齢(18才)になったら、子供は、自立させるものと、キッチリと考えていて、必要以上のお金を子供に与えない、また、家族であっても、夫婦と子供の関係を別に考えているところにあると思います。

 また、引きこもりができるということは、経済的にも、ある程度以上、恵まれた状態でなければ、出来ない話ですし、もともと、ケチで締まり屋のフランス人が、何もしない、いい歳をした子供に寝食を提供するようなことは、起こりにくいとも言えます。

 そして、また、日本と比べて、世間の目がうるさくない、そうでなくとも、人種が多い国では、こうでならなければならないというような、社会規範が緩く、人と違うということを問題視しないという国民性にもあるかもしれません。
 それだけ、日本のような、世間の目を気にする息苦しさが少ないということです。

 日本で、引きこもりが社会問題と言われるようになって、現在では、100万人を超える人が、引きこもりの状態であるというのですから、これは、深刻な問題です。

 実際に、私の親戚にも、長いこと引きこもっていた子がいましたし、パリにいる私の友人の家族にも、日本の家族に引きこもりがいました。

 皮肉なことに、友人の家族は、お医者様一家で、その子は、引きこもりから、うつ状態の精神疾患と診断されていました。うつ状態が悪化して、自殺の危険もあると考えられていたその子の家族は、思い切って、私の友人を頼りにその子をパリで治療させることを考え、彼は、しばらく、パリで治療しながら、生活をしていました。

 最初は、親の方も、とにかく、「生きていてさえくれれば・・」と、消極的な感じでしたが、日本の自分の日常から切り離されたことで、気持ちを切り替えられたのか、それとも、海外で違う世界に触れて、新たな自信が生まれたのでしょうか? 

 1年くらい、パリで治療しながら生活し、その後は、案外すんなりと、日本へ戻って、引きこもりから脱却したようでした。

 もちろん、そんなことは、お金もかかるし、誰か、そばで見守ってくれる人がいたからできたことではあると思いますが、彼女の家族の例を聞いて、こんな克服の仕方もありかもしれないな・・と思ったのです。











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