2019年11月11日月曜日

フランスの学校に制服はない




 Liberté, Egalité, Fraternité (自由、平等、友愛)は、フランス中、ほとんど、どこの学校にも、学校の正面玄関の上に掲げられているフランスの国家の標語のように用いられている言葉です。

 フランスの社会が実際に、自由、平等、友愛に溢れる社会だとは、到底、思えませんが、学校がこれをスローガンのように掲げているのは、日本の学校と比べてみれば、何となく、わからないでもありません。

 例えば、この中の「自由」について、私がフランスと日本の違いについて、思うのは、日本の学校の、制服や、服装や髪型などに関する規則です。

 フランスの学校には、公立、私立ともに、ほとんど制服というものがありません。よほど、突飛な格好をしない限り、服装に関して、とやかく言われることはありません。服装や、髪型などに関しては、ほぼ、自由です。

 それでも、むしろ、フランスの学生の服装は、かなり、質素で、地味です。

 私自身も、日本でも、制服のある学校に行ったことはないので、制服を着るという感覚が今ひとつ、わからないのですが、制服があることによって、さらに、その制服のスカートの丈がどうだとかいう制服に付属してくる規則が生まれるわけです。

 また、フランスでは、髪の毛にパーマをかけてはいけないとか、染めてはいけないとかいうことも、ありませんし、(だいたいにおいて、色々な人種が混ざっているため、元々の髪の色や毛質も様々で、それを規制するのは、困難ですし、たとえ、できたとしてもそれをフランスの学校がやるとは思えません。)髪型がどうのこうのと言われることもありません。

 日本は、制服に憧れて、あの学校へ行きたいということもあるのだそうですが、制服を着ることによって、「みんな一緒、みんな同じが安心・・」という観念が、知らず知らずのうちに植えつけられているのではないかと思うのです。

 最近、ネット上で見る、就活ファッションをめぐる就活産業への批判も、集団から浮きたくない就活生の気持ちを巧みに煽った現象ではないかと思っています。

 就職という人生の岐路を何とか無難に乗り越えようと必死になっている学生の弱みに漬け込んで、スーツからバッグ、靴、髪型、メイク、ストッキングの色に到るまで、マニュアルのようなものを作り上げ、それに、就活生がまるまる乗っかってしまっているのです。

 確かに人に好印象を与えるヒントのようなものは、あるでしょうが、これほど見事に没個性、まるで、制服か校則のようにきっちりとみんなが同じ格好をして就活に臨む様子というのは、日本という国の異様な部分が浮き彫りになっているような気がしてなりません。

 実際には、日本の採用者側にとっては、必ずしも、就活ファッションが良いとは、思っていないのではないでしょう。

 もし、フランスで、就活ファッションなる情報が流れたとしても、それが広まることはないでしょうし、それは、ナンセンスで、それに煽られて、みんながあたかも制服のように同じ格好をして、就活に臨むなどという現象は、絶対に起こらないでしょう。

 必ずしも、制服ばかりが悪いとは、思いませんが、みんなが同じであることを良しとする概念に、子供の頃から着続けてきた制服というものも、少なからず影響しているのではないかと思うのです。



 









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