2022年12月2日金曜日

電力供給会社が開始する計画停電の予行演習

 


 ここ数日、日に日に寒さが厳しくなっている気がする今日この頃、秋冬口の季節の服装の変わり目の速さに驚く頃とは違い、みるみる空気も冷たくなり、街行く人も明らかに着ぶくれし始めたことに逆に驚く感じで、いつも、みんなこんなに膨れてたかな?と思うほど、ダウンジャケットやマフラーなどで明らかに皆が着込んでいる気がします。

 秋の始まり頃に今年の冬の節電モードが叫ばれ、マクロン大統領まで、スマートにスーツの下にタートルネックを着て節電アピールをしていましたが、今年の冬は、とても、そんなスマートには越せそうもありません。

 オフィスなどでも暖房の設定温度が下げられているために、例年ならば、コートの下はそれほど厚着しなくてもすんでいたのに、今年はそういうわけにもいかずに防寒しなければならないために、こんな着膨れ現象が起こっているのではないか?とも思われます。

 そんな中、1月には、停電かもしれない・・と言われていた話がより現実的を帯びてきました。

 エネルギー供給事業者と送電事業者(Enedis社とRTE社)は、この冬の間に起こりうる停電に備えて、計画停電の全国規模の大規模な予行演習を実施する準備を進めていることを発表しています。

 そもそもこの電力不足は、フランスにある56の原子力発電所のうちの30がなんらかの理由で休止中ということから起こっていることで、なぜ、こんな状態のままで放置されていたのか、残念なところではあります。

 この予行演習には、各地域が参加し、全国規模の卓上演習の形で行われる予定で、具体的には、発電不足や天候によって描画が変化する地図を使ってシミュレーションを行うものです。

 考えてみれば、計画停電というのは大変なことで、一般の家庭はもちろんのこと、病院、や公共施設や公共交通機関、工場など、電力供給が不可欠な場所だけを都合よく調整して電力の供給を一時的に切ることは至難の業です。

 特に人口も多く、これらの施設も多いイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)などは、数多く点在する病院だけを考えても、難易度はより高いすが、すでにイル・ド・フランスでは、パリとその近郊で切断可能なセクターの最大数を特定しているそうです。

 停電を免れるのは、保護されたインフラの近くの送電線から電力を得ている世帯だけです。また、地域医療機関が最新の情報を提供することで、在宅の入院患者も救われることになりますが、混乱は必須です。

 ECOWATT(エコワット)のアプリはもはや必須アイテムで、停電(計画停電を含む)が発生する場合、3日前にエコワットシグナル(赤色)が発令されます。その後、影響を受ける地域のリストが発表され、前日の午後5時には、フランスの送配電網を管理するEnedisとRTEのウェブサイトで住所を入力することで、停電の影響を受けるかどうかを正確に知ることができます。

 地域全体が切り捨てられることはなく、少数派の部分だけが切り捨てられ、同じ人が2度と該当することはない計画です。電力切断は2時間以内、午前8時から午後1時、午後6時から午後8時の消費量の多い時間帯に実施する予定になっています。

 各県は、当該地域の消費量を38%まで削減する負荷削減計画を提示するよう求められているそうです。省庁間の危機管理ユニットは、クリスマス期間中に6〜10回の負荷削減オペレーションが必要になるという仮説のもとに計画中とのこと。この計画により、600万人に影響を与えることになると言われています。

 この停電の話、どんどん具体的になっていくとともに、現実味を帯びてきていますが、2時間以内であらかじめ予定されていれば、なんとか乗り切れそうな気もしますが、ことごとく、予定通りに事が運ばないフランス、何重にも準備する必要があるかもしれません。

 今、外に出れば、街中は、ノエルのイルミネーションがどこもキラキラ輝いていますが、そんなに節電が必要なら、このイルミネーションは全廃してしまったらどうか?と思いますが、おそらくフランスはそういうことはしないんだろうな・・と美しいイルミネーションが今年は少々、恨めしい気もしないでもありません。


計画停電の予行演習


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