2022年9月15日木曜日

電気料金値上げによるエネルギークーポン再び配布

   


 たまたま、昨日、EDF(フランス電力)から、請求書が届いて、今までになく、ドキドキして開封しました。電気料金の請求書は2か月に一度で、これまでは、毎回、似たり寄ったりの金額で、そんなに深く考えることもなく、支払っていたのですが、ここのところ、どんどん電気料金が値上がりしているというし、周囲からも「EDFの請求書を見てビックリした!」とかいう話も聞いていたので、ちょっと怖かったのです。

 電気料金については、自分のアカウントがあって、調べれば、現在、自分がどの程度、電気を消費しているかは、ネットでいつでも見ることはできるのですが、さすがにそこまですることはなく、それでも今までよりは、使っていない電気製品のコードを外したり、こまめに電気を消したり、ある程度は気をつけてはいるものの、我が家の場合は冷房もなく、どうしても暑いときに扇風機を使う程度なので、今の時点でも、かなり節電しているつもりなので、請求書がくれば、その通りに支払うしかありません。

 新年度が始まって、税金の支払いなど、出費がかさむ中、昨日、ボルヌ首相がエネルギー危機に関する政府発表を行いました。

 首相は特に「今の我々の目的は、ヨーロッパ規模でのエネルギー価格の爆発を止め、より穏やかな価格に戻すこと」と述べ、2023年に向けてのエネルギー危機への対応とともにエネルギーに関する援助を延長することを発表しました。

 この冬、フランス人が十分なガスと電気を使えるようにするために、ガス在庫の充填を加速(現在95%)、LNG基地の輸入能力の増強、再生可能エネルギープロジェクトを加速するという政府の方針です。

 この発表の中で、最も驚いたのは、「誰もが自分の責任を果たし、必要な節度を保てば、冬場に停電は起こらないであろう」という部分で、逆に言えば、「皆がこれまでどおりに生活していたら、冬場には停電する」ということで、そこまで差し迫った状態であるということが、エネルギーに関する政府の発表があるたびに、明らかにされていく気がします。

 彼女は、前回の発表の際に、エネルギー消費量を10%削減するという目標をかかげていましたが、混乱を抑えるためなのか、「節制とは、生産量を減らすことではなく、暖房を少し減らし、無駄な消費を抑えること」と説明しています。

 フランス人はパニック状態になった場合、最も収拾がつかない状態に陥る可能性が高いことを考慮している発言であると思われます。

 これにより、フランス高級ブランドグループLVMHは、10月からフランス国内の店舗で夜間照明を午後10時に消灯することを発表しています。

 いつの間にかどんどん上昇している電気・ガス料金は、それでもEDF(フランス電力)などの電気・ガスの供給会社に値上げ分だけでは賄いきれない不足分を直接、電気・ガスの供給会社に不足分を政府が援助しながらも、これでもギリギリの値上げを続けているわけで、それでさえも、2023年には、電気・ガスともにさらに15%の値上げが見込まれています。

 しかし、それでさえ、政府の介入がなければ、来年の初めには、電気・ガス料金は 2.2倍にもなるということなので、これでもマシな方なのかもしれません。

 同時に彼女は、値上げのお知らせとともに、再度、弱小世帯に向けてエネルギークーポンを配布することを発表しました。これは1200万世帯が該当するもので、10世帯のうちの4世帯の割合にあたります。

 金額は、収入や家族構成によって考慮され、100ユーロから200ユーロの間で支給されるということです。

 前回、今年4月に、すでにエネルギークーポンが配布されていますが、これは、本来ならば2023年3月末まで使用できるということになっていたのに、追加でエネルギークーポンが必要になってしまったということは、4月に配布されたものでは十分ではなくなり、想像以上に値上がりの速度も速く、爆上がりしているということです。

 電気代というものは、気をつければある程度は、節電することは可能であるものの、それ以上はあまりわかりにくい消費のかたちで、普通に生活しているだけで、いつの間にかどんどん請求書の価格だけがどんどん上がっていくことは、やるせないような気持ちにもなります。特に高価なものを買ったわけでも贅沢をしたわけでもないのに、どんどん支払いだけが増えていくなんて・・と思ってしまいます。

 これが、マクロン大統領が言っていた「豊かさの終焉のとき」の具体的なあらわれかたの一つなのかもしれない・・などとも思います。

 これまでろくに請求書の内容など見たこともなかった私ですが、こう値段があがっていくと、「えっ??間違いじゃないの??」とマジマジと請求書を見つめることになるのですが、ここにきて初めて、電気代にかかる税金が20%近いことに気付いて、またまたびっくりしています。

 しかし、EDFは、「2023年中に停止されている原子炉が再開する見込みはたっておらず、今後、当分、電力供給が増加することはない」と発表しており、この値上げが2023年中には、おさまることはなく、2024年まで持ち込むのではないかと見られています。

 まだ始まってもいない2023年より前からすでに2024年まで持ち込みそうだという話には、ほとほとウンザリさせられます。


エネルギークーポン


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