日本では、一般的に、家族の誰かが亡くなった場合に、無言の帰宅などという言い方もするし、家に連れて帰ってあげたい・・というふうに思われる方もいて、自宅でお通夜をしたりするケースも多い気がしていましたが、フランスの場合は、家に遺体を戻すということは、あまり一般的ではありません。
現在では、一定の手続きをすれば、埋葬、あるいは火葬までの間、家で遺体を保管することは、可能ということにはなっているようですが、以前はこれは禁止されていたことで、家に遺体を連れて帰るということはあまり一般的ではありません。
日本で、母が亡くなった時、病院では、「解剖させていただけるのでしたら、葬儀までの間、遺体は預からせていただきますが、もし、そうでなければ、その日のうちにお連れ帰りください」と言われました。
母の葬儀は、母の通っていた母の大学の先生が牧師を務める近所のキリスト教の教会にお願いしていたので、病院がダメでも、教会の方で安置して頂けるということだったので、家に連れ帰らなくても教会に預かっていただくこともできたのです。
私は、最期は苦しかったであろう母にさらに解剖などという目に遭わせるのに忍びなくて、最初は解剖することには、反対だったのですが、母の病気が心臓病だったことから、心臓病の多くが遺伝という要因もあることから、その病態の解明は母の遺伝子を引き継いでいるであろう私たちのためにも解剖はお願いした方がよいという意見が親戚の意見としてまとまり、結局、母の遺体は解剖していただくことになり、その後に教会に搬送することになりました。
私は、母の死後に家に戻してあげたいという気持ちはあまりなく、母が家に帰りたがっているともあまり感じなかっただけでなく、それよりも残された父が、その後にその家で一人で生活(私も弟も海外暮らしのため・・)していかなければならない場所に、亡くなった母が寝かされていたイメージが残像のように父に残されてしまうのはどんなにか辛いだろうか?と思ったのが、母を家に戻さなかった大きな理由でもありました。
フランスでは、夫が亡くなった時には、それがあまりに若く、急なことであったため、私は、ほぼ放心状態ではありましたが、亡くなった直後に病院で「解剖をさせていただきたいのですが、これは強制ではありません。どうしますか?」と言われて、その時は、あまりに急に亡くなってしまったので、どうしてもはっきり理由が知りたくて、「是非、お願いします!絶対、やってください!」とお願いし、実際に、「できることなら、自分でやりたいくらいだ・・」と思いました。
夫の遺体は解剖のために病院を移され、解剖の順番待ちのために、数日、病院に安置され、その間、2度、遺体と面会(対面?)に行きました。パリの大きな病院のため、遺体の安置所も大きくて、大きな冷蔵庫の引き出しがたくさんあるところで、遺体との面会をあらかじめ予約しておくと、時間には、冷蔵庫から出してきてくれるのです。
家の夫のパソコンの裏に、どういうわけか、自分が死んだ場合は家から一番近い墓地に埋葬してほしいという書き置きがみつかったために、家の近所の市営墓地に予約をして、場所を確保し用意してもらいました。
最近、フランスでも火葬を希望する人が増えたとはいえ、やはり、フランスでは、まだまだ普通の埋葬が多く、私にとっては、火葬以外の埋葬に立ち会うのは、初めてのことで、今から考えれば当然のことなのですが、想像以上に深く土が掘ってあるのが、とても衝撃的でした。
エリザベス女王の遺体が数カ所を経由しながら、ロンドンに戻られていく様子を見ながら、あまりに次元が違う話ではありますが、自分の家族が亡くなった後のことを思い出しました。
遺体安置 遺体搬送 火葬 埋葬 通夜
<関連記事>
0 コメント:
コメントを投稿