フランスのコロナウィルス感染者数は、夏の間は、減少を続け、むしろ、日本の方が酷いかも・・と思われる状況が続いていました。もはや、フランス人の生活は、ほぼほぼ、かつての日常に戻り、マスクをしている人も、あまり見かけなくなりました。
先日のエリザベス女王の国葬でも参列者はノーマスクでしたが、さっそく国葬に参列したデンマーク女王がコロナウィルスに感染したというニュースも流れてきています。
それでもその直前、WHO(世界保健機構)も「パンデミックの終焉は手の届くところにある」などと、かなり楽観的な声明を発表したりして、パンデミックもヤレヤレ・・ようやく一息つけるかと思いきや、今度はエネルギー危機とインフレで、立て続けの災難に境目がないな・・と、なんとなく、問題が別に移行しているような気にもなっていたのです。
フランス政府は節電を呼びかけ、特に企業に関しては10%の節電の具体的な計画を検討することを提案し、企業によっては、暖房を使う部屋を減らすために、いくつかに分散されている部屋の人員を集結させて、暖房を使う部屋を減らすことで節電するなどという案なども紹介されていました。
これまで、やたらとソーシャルディスタンスを叫んでいたのに、今度は節電のために同じ部屋に人を集めて人との間隔をつめるとは、パンデミックも完全に終結したわけでもないのに大丈夫なんだろうか?と思っていました。
それが、新年度の開始とともに、9月6日以降、減少を続けていた感染者数が一転して上昇に転じ始め、残念ながら、ウイルスの循環が再開された兆候である1の値を超えています。
週初めには、新たに51,816人の感染者が確認され、これは8月2日以来の記録となり、この1週間、フランスでは毎日平均28,837件の新たな感染が記録されました。これは、わずか1週間で47%の増加であり、多くの専門家は第8波の始まりであると語っています。
今のところは、これまでに比べれば、大した数字でもありませんが、怖いのは増加率の方です。いったん、増加し始めるともう、しばらくは増加が続きます。
フランスはここ1週間ほどで急激に気温が下がり、この気温の低下により、さらに感染症が再び増加する兆しと見られています。発生率は地域によって対照的に増加の兆候が見え始め、アルデンヌ地方では、すでに人口10万人あたり500人を超える患者さんが発生しています。
イル・エ・ヴィレーヌ県(人口10万人あたり415人)、オート・ソーヌ県(451.98人)、ベルフォール県(458.92人)、クルース県(406.29人)、カンタル県(459.24人)の5県は、ほとんどがフランス北部に位置しており、特にフランス北部の被害が大きいことが報告されています。
医療機関はこの2週間で入院患者数の減少がストップし、今後数日の間に再び増加することは避けられないと言われています。フランスでは、現在12,896人の患者がコロナウイルス感染が原因で入院していますが、1日平均401人が入院しており、この数字はここ数日上昇しています。
この2年間で、コロナウイルスの季節性が明らかになり、ウィルスの循環は寒い季節の到来により活発になることは証明済であり、新しい変異種が出現せずとも、感染のリバウンドがあることは、わかっています。
フランス政府は、まもなくオミクロン対応のワクチンが出回ることから、高齢者やリスクの高い人は、待ったなしで2回目のブースター接種を急ぐように呼びかけ始めました。
皮肉なことに、エネルギー危機で節電を余儀なくされ、暖房も19℃までと指標が定められ、電気代、ガス代の高騰からも、思うように暖房をつけられない家庭も増える中、暖房をせずによりウィルスが循環しやすい環境を作らざるを得ない現在は、余計にややこしい第8波となるかもしれません。
フランス コロナウィルス第8波
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