2022年9月27日火曜日

ドクターストップの制度にメスが入る リモート診療でズル休みが増えた

   


 フランスの病欠には、医師のドクターストップの書類があれば、3日間の待機期間を経て(何のための待機期間なのかは不明)4日目からは、病欠の間の日当が国民健康保険から補償されます。

 そのため、有給休暇を無闇にやたらに消化してしまいたくない人は、ズル休みのために、このドクターストップの制度を利用する人もけっこういるようです。

 もちろん、本当に深刻な病気で長期間病欠しなければならない時、また子供が病気の場合などにも子供の看病のためにこのドクターストップの書類を書いてもらうこともできます。特に病欠が長期間に及ぶ時などは、経済的にも生活が脅かされることになるし、無理して子供を置き去りにして仕事に行かなくても済むために、とても優しい人道的な制度でもあります。また、このあたりは、きっちりしていて、この病気のために休んだ日数は年金換算の際の日数からマイナスされないことに規定されています。

 しかし、やたらとこのドクターストップを安売りしている医者もいたりして、このズル休みの常習犯は、この書類を書いてもらうための医者をマークしていたりもします。基本的に雇用者は病名を問いただしてはいけないことになっているので、これはますます増長されてしまいます。

 そして、これが、さらにパンデミック以来、医者にわざわざ出向かなくても済むリモート診療(遠隔診療)が浸透し、また政府も感染対策の一環として、このリモート診療に関しても健康保険で全面的にカバーすることを決定し、このリモート診療が拡大するとともに、このズル休みのためのドクターストップをカバーするための保険申請が爆発的に増加し、昨年には、この金額はほぼ1億ユーロにまで達しています。

 わざわざ出向かなくてもよくなったために、ズル休みのための病欠のための書類を与えてくれる医者を見つけるまで、何度もオンラインで相談する人が増え、主治医(かかりつけの医者)以外が与える病欠申請が爆発的に増加しているのです。

 この現状を受け、政府は、「主治医(かかりつけの医者)以外のリモート診療による病欠申請には、健康保険は適用外になり、補償金は支払われない」ことになり、また、医者のサイドに対しても、「リモート診療が全体の診療の20%を超えてはならない」と規定されることになりました。

 このような弱い立場の人を援助するための社会補償金のような制度には、逆にそれを利用して利益を得ようとする人が登場するのは、ついて回ることではありますが、せっかくのこの社会補償制度、このような詐欺まがいのことをする人のために、制度自体がなくなってしまうことになっては、本末転倒です。

 医者が発行するこの病欠のためのドクターストップの書類だけでなく、医者の書く処方箋の場合は、広範囲で薬が保険適用でカバーされるため、先日は偽の医者の処方箋を作って大量に薬を手に入れて国外に輸出して儲けていたというグループが摘発されています。

 私の場合、もう現在の住まいに引っ越して来て以来、家族ともども歩いて1分のところにいる女医さんのところにかかっていて、リモートよりも気軽に診てもらっていて、もう色々と説明しなくとも、ほぼ自分の体質や既往症や家族構成、仕事などについてもよく知っていてくれるので、絶体の信頼を寄せているので、安心しています。

 専門医にかかるにしても、一度、彼女に診てもらって相談してから行くようにしているくらいです。

 ずいぶん前に、職場で転んで怪我をして足に血栓ができた時など、「そんなに仕事を休めない・・」と焦っていた私に彼女に、「あなた、死にたいの?」と怒られて、1ヶ月間の病欠の書類を書いてもらったことがありました。

 それにしても、もともと1ヶ月は優にバカンスをとるフランス人、それでも足りずにズル休み・・みんながみんなやっていることではありませんが、それにしても、そのための補償の金額が1億ユーロを突破するとは、やっぱり、そんなに少なくはないのかもしれません。


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