2025年に入ってから、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)で携帯電話ショップ強盗が増加しています。
犯罪にもトレンドというものがあるとするならば、今はこの携帯電話ショップ強盗が新たにそのトレンド入りしそうといったところかもしれません。
以前(といっても10年くらい前まで)は、「メトロやバスなどの公共交通機関の中で携帯電話を出すのは危険です!」などと呼びかけられていたし、そんな注意喚起のポスターが貼られているのをみたこともあります。
実際に、メトロの中で携帯を見ていて、駅で停車時に買ったばかりの携帯をひったくられた!とか、駅を出たところで、携帯をひったくられた!と嘆いている同僚がいました。
しかし、さすがにパリでも今ではメトロなどの中では、もう大勢の人が携帯を覗いている状態で、あまり携帯をひったくられるという事件を耳にすることも減りました。
今、増加している携帯電話強盗はダイレクトにショップを狙ってのもので、しかも、その多くの場合がSNSで強盗の依頼を受けた若者が組織的なグループの手先となって、いわゆる犯罪の一部を請け負う掛け子のような存在のようです。
マニュアルがあるのか?彼らの手口はだいたい似通っていて、閉店間際のお店を狙って、ガスボンベとショッピングカートのようなもの数台をひいたフードで顔を隠した男が店内に押し入り、従業員を脅迫して、店内あるいは、店の奥にある商品を詰め込み携帯電話を始めとする通信機器を奪っていきます。
強盗たちは、数分間の間に数百台の携帯電話を回収していき、店の被害は5万ユーロを超えることも少なくないといいます。彼らは短い時間で多くの利益を得られることがわかっています。
しかし、実際にこの種の強盗に及ぶ多くは、14~15歳、あるいは18歳から25歳くらいの若者で、警察からマークされていない、いわば素人の犯行がほとんどで、彼らは、暗号化されたメッセージサービスにメッセージを投稿するだけで、強盗という犯罪に加担することになっているというのが実状のようです。
彼らには、店舗から携帯を強奪してくることで、一定の報酬を受け取り、その上の組織が携帯電話を海外に売り飛ばすルートを確保しているようです。
多くの場合はこの犯罪者同志もお互いに面識もなく、全くの知らない者同士です。
2025年3月1日から5月1日の2ヶ月間の間に、イル・ド・フランスではこの携帯電話ショップ強盗事件が17件も発生しているそうです。
それにしても、このSNSでの犯罪依頼に応じて、簡単に強盗を請け負う若者の増加には、暗澹たる気持ちにさせられます。
このように、ウーバーのように簡単に犯罪を依頼すれば、すぐに犯罪者が乗ってくるということにも恐ろしさを感じますが、彼らはお互いを見知らぬ分だけ、雑に扱われ、簡単に切り捨てられるという側面も持っています。
捜査官にとって、こうした強盗はランダムな側面を持っているため、予測が困難でもあります。
しかし、いくら短時間で高収入とはいえ、強盗という、なかなか派手な犯罪に加担するのは、あまりにリスキーとは思わないのだろうか? 簡単に切り捨てられるとは思わないのだろうか? と短絡的な犯罪の増加が恐ろしい気がします。
携帯電話ショップ強盗
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