2025年5月3日土曜日

仏大手製薬会社サノフィ 子会社オペラ(ドリプラン)の株式の50%を正式に売却

  


 昨年の10月に発表されたとおり、仏大手製薬会社サノフィは、子会社オペラの株式の50%をアメリカのファンドCD&Rに売却することを正式に決定しました。

 この発表がなされた当初は、今や子会社化しているとはいえ、サノフィの看板商品?とも言える「ドリプラン」の部門でもあり、この「ドリプラン」はおそらくフランスで最も有名な薬(鎮痛・解熱剤 パラセタモール)、フランスで最も売れている薬でもあり、毎年3億箱が販売されており、「フランス人の魂を売り払うのか?」というほどの勢いの世間からの反発、いわばフランスの国民的な薬の会社なのです。

 また、このドリプラン製造部門の工場がフランスから消えてしまうのではないか? それに伴い、この従業員の雇用問題は? などなど・・物議を醸していました。

 とにかく、フランスでは何でもかんでも、病気になれば、「とにかく、とりあえず、ドリプランでも飲んどけば・・」と言うほどの、とても身近な薬でもあり、実際にパンデミックの際もコロナウィルス感染しても、特効の治療薬はなかったために、この「とりあえず、ドリプランを飲んで様子をみてください」が横行していました。

 パンデミックの際は、多くの流通が世界的にもストップしたこともあり、このドリプラン(現在は海外で製造している分が多い)が不足する事態が起こり、大変なパニック状態に陥り、マクロン大統領までが出てきて、「これからは、非常時に備えてドリプランをできるだけ国内で生産するようにしていくようにする・・」などと発言していました。

 しかし、パンデミックがどうにか終息したかと思ったら、まさかのドリプランがアメリカのものになる?フランスから消える?などという話になり、余計に大騒ぎになったのです。

 実際のところ株式の50%はアメリカのファンドCD&Rが所有し、サノフィが株式の48.2%を所有し続け、残りの1.8%は、政府が絡んでBpi france(フランス公的投資銀行)が取得し、アメリカの言うがままにはさせない姿勢を保とうとしています。

 この子会社の株式50%売却により、サノフィは100億ユーロを得る見込みで、同社はこれを今後、免疫学のリーダーとなり、AIを原動力としてグループの成長に繋がる糧とするとしています。

 サノフィが具体的にどのような開発に取り組んでいるかは、わからないものの、ちょうど昨年の今ごろ、2024年5月にサノフィは、米国ノババックス社とライセンス契約を締結したことを発表しています。

 これは、新型コロナウィルス感染症ワクチンの販売とインフルエンザ及び新型コロナウィルス感染症ワクチンの開発に関するもので、アストラゼネカが新型コロナウィルス感染症ワクチンからの撤退を発表するなか、正反対の方向に進み始めたことでも注目を集めていました。

 そもそもこの新型コロナウィルス感染症ワクチンの開発については、サノフィは多額の研究費を投入しながら、実際にパンデミックの最中には完全に出遅れてしまった経緯がある中、今度は、たんぱく質ベースの非mRNAアジュバントワクチンへのアクセスとともに、同社のインフルエンザワクチンの混合ワクチンへの可能性も見込み、2025年からの販売を計画していました。

 サノフィがドリプラン売却を代償にして得る新しい開発は別にもあると思われますが、この100億ユーロが吉と出るか?凶と出るかは、まだまだ先にならないとわかりません。


サノフィ ドリプラン


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