私が子どもの頃は、日本では専業主婦がふつうで、実際に私の周囲の友人のお母さんたちは、ほとんどが専業主婦で、今から思えば酷い偏見だったのですが、お母さんが働きに行っているというと、「よっぽど経済的に厳しいおうちなんだな・・」と思うくらいでした。
私の母は、仕事をしていたといえば、仕事をしていたのですが、家で子どもたちを集めて英語を教えていたという、当時ではあんまりない感じで、しかも、そもそもは私に英語を教えていくのに、親子二人でというよりも、数人の子どもたちに私を混ぜて教えるために始めたことで、そして、何よりも母は英語が大好きで(本人は英語の音が好きと言っていた)、半分は趣味(といったら、失礼ですが・・)のような感じで、母自身がとても楽しんでやっていたし、外にお勤めに出るというわけでもなかったので、あまり母が仕事をしている・・共働きをしている・・という感覚が私にはありませんでした。
今から考えると、私は実に自分の将来というものを漠然としか考えてこなかったし、将来、きっちりとした仕事を持つということも、具体的には考えてきませんでした。
ある程度の年齢になったら、結婚するだろうし、今では死語だと思いますが、よもや自分が煙たがられながら、オールドミス、お局・・などと言われながら会社に居続けるようになるとも思っていませんでした。
時代と言ってしまえば、それまでですが、私はいわゆる適齢期と言われる年齢には結婚もせずに留学をしたりして、なんとなく自分がやりたいことに少しでも近づこうともがいていました。
ただ一つ、私が考えていたことは、子どもを育ててみたいということで、しかし、それには、タイムリミットがあり、特に結婚願望らしいものはなかったのですが、そのタイムリミットに近い頃に知り合った男性と一緒に生活することになりました。
それから、私の本格的な海外生活が始まったのですが、アフリカでは、フランス語の勉強のために大学に通い、そして出産、フランスに来てから1年後に再び仕事を始めました。
海外で仕事を探すのはそんなに容易なことではありませんし、ビザの申請等に1年近く時間がかかったこともあり、なんだかドタバタした感じ・・しかも、娘はまだ生まれたばかりで、初めての子育てに必死なところもありました。
フランスでは共働きがふつうのことなので、仕事さえ見つかれば、あまり抵抗もなく、むしろ、子どもから解放される時間が持てることや、家とはまた別の世界を持つことができるということも、今から考えれば救いでした。
仕事があまり時間的に融通が利く仕事でもなかったこともあって、大変なこともたくさんありましたが、夫が亡くなるまでは、私は娘の学校のママたちとのお付き合いなどもほとんどしたことがなく、実際にそんな時間もなかったし、知っている顔といえば、バレエのお稽古などで顔を合わせるママさんたちや、お誕生日会などに娘がお呼ばれしてお宅に送り迎えに行くくらいだったし、実際に周囲のママさんたちも仕事をしているので、お互い忙しくしているのがふつうな感じでした。
娘の小さい頃の時代でさえも、専業主婦というママには、ほぼほぼお目にかかったことがありませんでしたし、いても、逆にそんな専業主婦を(半分はやっかみもあったのかもしれませんが・・)白い目で見ているママたちもいたくらいです。
今は日本でも専業主婦は少なくなったと聞きますが、ずいぶん時代が変わったんだろうな・・と思います。
しかし、どちらにせよ、私は何の計画性もなく来たのに、よくもここまで仕事をしてきたもんだ・・しかも海外という暮らしづらい場所で・・。逆に考えれば、あまり選択肢がなかったために、そうせざるを得なかったというところもありますが、なんとかなるものです。
それにひきかえ、娘などを見ていると、そもそも、自分でしっかり仕事を持って、ちゃんと自立して仕事していくことを若い時から考えて、それなりの学歴も持って、着々と仕事をしているのを見ると、我が娘ながら、すごいもんだ・・と思います。
今から人生をやり直すつもりもありませんが、早くに目標を定めてそれに向かって努力していけば、ずいぶんとムダのない人生になっただろう・・と思います。そう思うと私は、ムダなことしかしてこなかった気もしますが、言い訳させてもらうと、ムダなことほど楽しくて、なんなら、ムダなことなんてありません。
私の周囲は、独身の友人が多いこともあって、日本にいる友人でも専業主婦をしている友人は一人しかいませんが、仕事を持っていても、専業主婦をしていても、それなりに充実した人生を送っているようで、どっちもいいな・・どっちも経験してみたかった・・とも思います。でも、もしも、私が仕事をしてこなかったら、子どもがいなかったら・・つまらなかったかもしれないな・・とも思います。
専業主婦 共働き
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