ハイブランドの偽造品の売買は、違法行為で売る側も買う側も罰せられます。にもかかわらず、2022年から2023年にかけて、この類のフランスで押収されたブランド物の偽造衣料品やアクセサリーなどの数は倍増しています。
EUIPO(欧州連合知的財産庁)の調査によると、15歳から24歳のフランス人の29%が故意に偽造品を購入していると言います。2019年の同様の調査では、14%でした。この数字だけでも倍増していることは明らかですが、私などにはこの2019年の14%という数字ですらもすでに驚きです。
29%といえば、もはやほぼ3人に1人という割合で、もはや彼ら(彼女たち)は、それが偽造品だということを隠しもせず、偽造品だということは重々承知のうえで、購入し、偽造品が流行しているような、もはや偽造品はタブーではなくなっているくらい浸透しているということなのです。
私も若い頃、一時期はちょろっと麻疹のようにブランド物にかぶれかけたことはあったけれど、徐々に興味を失い、むしろ、フランスに来てからは、敢えてブランド物は身につけないようになったくらいです。何よりも安全を考えてのことです。
考えてみれば、最近、メトロやバス、トラムの中などで、男女問わず、若者がブランド物を身に着けているのを見かけるようになりました。グッチのキャップやポシェットを身に着けている若い男の子などは、特によく見かける気がしますが、絶対にホンモノではないだろうな・・と思いつつ、それでも(偽物でも)ほしいんだな・・?と眺めていました。
現在は、若い男の子の間で主に白やグレーのディオールのスニーカーが大流行しているそうです。(偽物ですが・・)
だいたい、まともな人はパリ市内のメトロなどで、これ見よがしに本物のブランド品は持ち歩きません。危ないですから・・。
以前は、このような偽造品は露天商が売りさばいている様子を見かけたものですが、それが現在は、SNSでお手軽にネットショッピング、特に中国のサイトを通して、簡単に手に入れることができるそうで、Telegram、Snapchat、TikTok のアカウントから注文するだけで、数日以内にパッケージが届くようです。
この偽造品を扱うサイトを運営している中国を拠点としているフランス人は、「当社はルイ・ヴィトンとディオールの上客だ」と言い、実際に本物を購入してその製品を特殊な機械を使って、重さ、織り方、模様、色を決め、工場に発注して偽造品を作って販売します。
中国を拠点とするのは、労働力の問題で彼らには、月給制で給料を支払いますが、彼らは月29日間労働なのだそうです。
製品の発送は中国からになるため、税関にひっかかることもあるとはいえ、税関も全てをチェックすることは不可能なため、時々、損失は出るとしても、その分は充分カバーできるほど売れているので問題ないと話しているといいます。
偽造品がまかり通れば、本家本元のハイブランドの方も迷惑極まりない話ですが、そもそも「偽物がタブーではない」という観念自体が破滅的というか、彼らは一体、何に価値を求めているのか? 偽物なんてみっともない!偽物を持つくらいだったら、ノーブランドで良いではないか?と思う私はもう古いんでしょうか?
しかし、数年前から、確実に変化してきているフランスのファッション業界、モードの世界、極端に高価なハイブランドか、サイトでも簡単に変えるお手軽・格安モードのブランド以外は、軒並み経営不振で倒産続き、このサイトで簡単に変える格安・お手軽モードの中に偽造ハイブランド品の躍進があったとは・・驚きです。
ハイブランド偽造品
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