2025年3月24日月曜日

地下鉄サリン事件から30年 フランスの反セクト法

  


 日本で1995年3月20日に起こった地下鉄サリン事件から30年ということで、日本では、あの事件を忘れてはいけない、風化させてはいけない・・と振り返る番組や報道がなされていたようですが、フランスでもこの事件を振り返る報道が出ています。

「サリン」という、当時はあまり耳慣れなかった化学物質をあの東京の霞が関を中心とした地下鉄内の数ヶ所で散布されるという驚愕の事件は、平和で治安の良いはずの日本だからこそ、余計に海外諸国には、衝撃的だったと思います。

 当時、私は、まだ日本にいたので、その当時のフランスがどの程度、騒いで報道していたのかは、わかりませんが、30年経った現在でも、それを振り返る報道がなされている(しかも、写真が何枚も使われているけっこう長い記事)ということは、当時はそれなりの衝撃的なニュースだったことと思われます。

 私は、この恐ろしい宗教が拡大していった「新宗教ブーム」のようなもののすぐ隣にいた世代だったので、今とは、全く違うバブルに浮かれた人々が大勢いる中で、それに疑問を感じていた人々などが、宗教に意味や希望を繋ごうとした気持ちもわからないでもなく、未だにキッチリ解明されていないこの事件、事象には、興味を持ち続けています。

 当時、私は通信社にいたため、ニュースの一部始終を目にしていたし、今は亡きフランス人の夫も、当日、たまたま霞が関駅近辺にいて、何が起こったのか?野次馬で見に行こうとして警察に必死に止められたと言っていたので、なんだか全く他人事な気がしないのです。

 今回のフランスの記事では、当時の事件の概要を説明し、13人の犠牲者(2020年には14人目の犠牲者)と5,800人以上の負傷者が出て、負傷者の多くは後遺症に苦しんでいることを伝え、負傷者たちが「政府がこの事件の負傷者の後遺症の医療支援にもっと積極的に取り組んでほしい」と訴えていると伝えています。

 個人的には、安倍元総理暗殺事件の時に問題視された「統一教会問題」が浮上した際に書いた記事が最近、またけっこう読まれていたりするのを知って、そういえば、フランスがこの地下鉄サリン事件から得た教訓をきっかけに「反セクト法」に本格的に着手し始めるきっかけになったのがこの地下鉄サリン事件だったのだということを思い出しました。 

 この事件を機に反セクト法制定に着手し始めたフランスは6年後の2001年6月には、しっかり「反セクト法」を制定し、「宗教の自由は奪わずに、国民の精神の自由を守る」とし、「精神の不安定を導く行為」、「法外な金銭要求」、「本来の環境からの隔離」、「公権力への浸透の企て」などを禁止し、これに該当する団体(宗教に関わらず)に対しては、裁判所が団体解散権を持つようになっています。

 よって、統一教会は未だにフランスにも存在していますが、日本のような問題には、至らなかったと言われています。

 このフランスの「反セクト法」のきっかけとなったのが、オウム真理教の「地下鉄サリン事件」だったのですが、今回の「地下鉄サリン事件から30年を振り返る」記事では、フランスでも、そこまでは触れていないものがほとんどです。

 日本でも、「地下鉄サリン事件から30年 この事件を風化させてはいけない」などの記事が散見されますが、実は、何も解決していないままであることこそ忘れてはいけないのです。

 オウム真理教は、以前のような規模ではありませんが、名前を変えて、未だ存在しているし、解決しないどころか、未だに統一教会と関わっているであろう政治家が多数存在しているのは、本当に信じられないことです。


フランス  反セクト法


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