CNAM(Caisse Nationale d’Assurance Maladie)(国民健康保険基金)が発表した年次報告書によれば、病気休暇補償の費用が過去1年で2倍以上に増加しており、2023年の1,700万ユーロと比較して、2024年には、4,200万ユーロとなっており、この大きな原因になっているのが偽造病気休暇証明書が激増してることを挙げています。
この報告によれば、現在、偽造病気休暇証明書はWebサイトで販売されているそうで、しかも、同様のサイトは増加傾向にあり、この偽造された証明書が横行しているのだそうです。ル・パリジャン紙によれば、現在、この偽造証明書はTelegram、Snapchat、TikTokなどのサイトで20ユーロで販売されており、注文すれば、1時間以内に配送されると報じています。
通常は、この病気休暇証明書があれば、病欠の期間開始の3日後からの支払いになるので、ちょっと風邪をひいて1日~2日休んだ・・などの場合は、意味がないので、どちらかといえば、長期間の病気休暇に対する補償になります。
この病気休暇証明書を提出すると、少なくとも1日あたり半額の給与が補償されるので、長期間にわたる休暇の場合は、少なくありません。
このため、国民健康保険基金は、2025年6月からは、紙幣のような透かし模様、特殊紙、ホログラフィックラベル、磁気インク、処方医の識別機能等を用いた証明書に切り替えると発表しています。まったく、病気休暇証明書にまで紙幣なみの細工をしなければならないとは、嘆かわしいことです。
今や、ネットで何でも注文できる時代。でも、まさか、こんなものまで売っていたとは、正直、驚きで、また、こういうものがあるとなると、あっという間に拡散されて、売れてしまうという驚くべき時代。
この病気休暇証明書は、子どもの病気の際にも親が書いてもらうことができるありがたいもの(ただし、子どもの病気の付き添いの場合は限度があり、年間〇日までと決められている)ですが、私などは、どうにも日本人っぽいというか、この突然、休んだり、長期間、バカンスでもないのに、病気休暇を取るということにとても、抵抗があり、職場に迷惑をかけたくないという方が先にたってしまうため、一度、職場で、階段を踏み外して怪我をして、その結果、足に血栓ができたとかで、無理矢理、ドクターストップをためらい、病気休暇を断ろうとした私は、医者から「あなた、死にたいの?」とまで脅され、しぶしぶ1ヶ月半近く休んだことがありました。
あの時は、職場での怪我だったので、単なる病欠ではなく、労災扱いになったので、100%給与分は補償されたのですが、私としては、申し訳ない気持ちで、いっぱいでした。
今、思えば(現在、かなりフランス人マインドになりつつある)、当然の権利なんだから、大きな顔して休んでいれば、よかったとも思うのですが、わざわざ、この病気休暇証明書を購入してまで、休む人が多いとは、やはりフランスです。
とはいえ、これは、れっきとした違法行為で罰金や懲役刑なども発生することもあります。
偽造病気休暇証明書
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