「フランス国民の不安に応えたい」と行われた夜20時からのマクロン大統領の演説は、15分弱のものでしたが、終始厳しいながらも落ち着いた様子で行われました。
内容は、フランス・欧州の防衛に関する内容が中心ではありましたが、急激に変化する世界情勢の中、フランスがどのような姿勢で取り組んでいるか?また、今後、フランスはどうしていくのか?今後のフランスの外交路線を説明するものでした。
この演説は、翌日にはブリュッセルで27ヵ国が集結し、今後のウクライナと欧州防衛への継続的な支援についての協議が行われる前日に行われています。
この演説の中で、マクロン大統領は、「この危険な世界に直面して、傍観者でいることは狂気の沙汰である」と言明し、ロシアがもはやウクライナだけではなく、フランス、ヨーロッパの脅威となっていると説明。
そして、「平和はウクライナの降伏や崩壊であってはならない」また、「平和は、いいかげんな停戦がもたらすものでもない」と、ロシアがミンスク合意を尊重していないことを指摘しながら、「今日、我々は、もはやロシアの言葉を信じることはできない」と、フランスが取ろうとしている姿勢を明確に説明しています。
加えて、ウクライナへの支援の一時停止を発表した米国が我々の側に留まることを信じたいし、米国への説得も続けていくが、そうでない場合に備えて、欧州諸国は、自らの国を防衛するための万全な準備をしていかなければならないと語りました。
これを裏付けるかのように、彼は欧州首脳会議での確認事項として、「欧州加盟国は、赤字に計上されることなく軍事費を増額することができ、最も革新的な軍需品、戦車、武器、武装品を欧州の地で購入し生産するために、大規模な共同資金調達が行なわれることになる」と説明、これは、欧州諸国が自国を防衛し保護する準備、自国で必要な装備を共同生産し、協力して世界の他の国々への依存を減らす準備がより整うことを意味しています。また同時に、「ヨーロッパの将来は、モスクワやワシントンが決めることではない」とも言っています。
この防衛費のために新たな予算の選択と追加投資を増税することなしに行うことを宣言しました。この「増税することなしに・・」とハッキリ宣言することは、フランス国民にとっては、恐らくとても大きなことで、ともすると怒りの矛先が政府に向かいかねない、最悪、国内でまたデモや暴動・・などということにもなりかねない案件です。今、この世界情勢で、国内での大混乱などどうしてもあってはならないのです。
彼はこの演説の中で、核抑止力についても語っていますが、この核抑止力は、フランスが核保有国として存在していることの責任と意味についての確認とも受け取れます。フランスは、その意味で核を持っているからこそ、これを抑止力として、主権的に欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を進めることができると説明しています。
最近のマクロン大統領の演説の中では、久しぶりに頼もしい感じでした。この非常に緊迫した状況の中、外交の場に立つ我が国(フランス)の大統領が一体、何を考えて、どう進もうとしているのかを明確に国民に伝えることは、大切なことだったのでは・・と思いました。
そして、彼は言っています。「明日の解決策は昨日の習慣であってはならない」と。
マクロン大統領の演説
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