安倍元総理の襲撃事件をきっかけに、日本では盛んに統一教会の問題が騒がれているようですが、その宗教問題はもちろんのこと、それに関わる政治家との関わりや捜査に至らなかった経緯など、なんだか話を聞けば聞くほど、暗澹たる気持ちになってきます。
この話に関連して、フランスには反セクト法があり、このような事態には至らないという話も話の端々に出てきていますが、たしかに、フランスにも新興宗教(セクトとかカルトとか呼んでいる)は存在しても、霊感商法などの話はあまり聞かないな・・などと思っていました。
しかし、考えてみれば、我が家の場合は、ごくごく身近にそんな感じのことがあったのを思い出しました。
それは、私の夫の元妻が新興宗教なのかどうかはわかりませんが、かなり宗教にどっぷり浸かっていたという話で、私は直接にはよく知らないのですが、プロテスタント系のキリスト教会に通っていて、その傾倒の仕方がかなり激しいもので、ほぼ生活のすべてが教会を中心に廻り始めて、日曜日の礼拝に通うくらいなら、まあまあ理解はできるのですが、そのうち、毎日になり、なんでも教会に寄付してしまうという事態に発展し始めたのだそうです。
初期の頃は、夫も一緒に教会に通っていたらしいのですが、元妻の方ののめり込みが尋常ではなくなり、付き合いきれなくなり、子供に対しても教会通いは絶対的な強制事項で、テレビなども禁止、本なども制限されるというなかなかな厳しい状況になっていった中、夫が交通事故でかなりの重症を負った際に、教会の人々がここぞとばかりにおしかけてきて、その中の何人かから、「今回の事故はあなたの信仰が足りないせいだ・・」と言われたとかで、その時点で夫はブチ切れ、教会とは縁を切ったようです。
その後、教会生活中心の元妻とはうまくいかなくなるのは当然の話で、仕事の都合で転勤も多かった夫とは、ますます関係は悪化していったようです。
私が彼に出会ったのはそれから、ずっと後のことでしたが、彼の子供たち(元妻と生活していた)、特に一番下の男の子(当時は小学生だった)は、土日になると、よく家に泊まりにきていました。その子が我が家にきていたのには、パパに会いたいということもあったのでしょうが、パパのところに行けば、教会に行かなくても済む・・というのも大きな理由の一つでもあり、また、家では禁止されているテレビも見れるし、ママからは禁止されていたおばあさまに買ってもらったテレビゲームなどは自分の家においておくと、ママに取り上げられてしまうために我が家においてあり、ここぞとばかりにゲームをしたり好きな本を読んだりしていました。
長男は、もう母親の洗脳?にどっぷり浸かり、かなり優秀で、高学歴で、一度はフランス大手の銀行に就職したのですが、結局、銀行での仕事に馴染むことができずに、今でも宗教の道を歩んでいます。結局のところ、もう誰に強制されるわけでもなく、自分で選択した道を信念を持って歩んでいるのだし、人に害を与えるわけでもないので、それはそれで良いのかもしれません。すごく純粋で優しい子なのです。
家によくきていた一番下の男の子は、本人の希望と夫の配慮もあり、母親と教会から隔離する意味もあって、高校入学を機に、全寮制の学校に進んで、それ以来、母親とも教会ともほどほどの距離を保っているようです。
その教会が新興宗教であったのかどうかはよくわかりませんが、それがたとえ、セクトではない普通の教会であったとしても、あまりに狂信的な信仰のために家庭が崩壊したことには違いありません。
考えてみれば、コロナウィルスによるパンデミックがフランスで最初に広まったのは、地方で行われていたちょっと???と思われるキリスト教会の全国から信者が集まる集会のようなものでもありました。
私は教会などに通ったことはないので、そういう世界の中のことはわかりませんが、やはり、ある程度、一般社会からの隔離のようなことを強いたりするのは、不自然でましてや子供までというのは、気の毒な気がします。
とはいえ、信仰を持つ本人は、それが良いこと、正しいことと信じているのですから、子供に対しても、そのように教育しようとするのは当然とも思うのですが、統一教会の2世問題などを見るにつけ、以前、家に来ていた夫の子供などを思い起こすに、複雑な気持ちになります。
フランスの新興宗教 セクト カルト
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