フランス国内では、今日もTGV(新幹線)や軍用機、ヘリコプターを使っての患者の搬送があちこちで、行われていました。
イル・ド・フランスでは、通常の集中治療室が1200床と言われているところに、2000床のベッドが置かれ、他の地方へ、患者の搬送が行われていますが、それでも、間に合わない現場では、集中治療室に入れる患者の選別さえも行われている状態だと言います。
また、深刻な状況が続いている、Grand Est グランエスト(フランス北東部の地方)からも、31日、午前中には、軍用機、ヘリコプターで、Mulhouse(ミュルーズ)から、ハンブルグに6名が搬送されています。
イル・ド・フランスは、パリを中心とするフランスの中心都市で、最も人口の多い地域ですから、人の出入りも多く、感染が広がるのも致し方ないところもあるのですが、ミュルーズでのオーバーシュートは、2月17日から、21日にかけて、La Porte Ouverte Chrétienne(クリスチャン・オープンドア教会)というプロテスタントのキリスト教の教会が、感染源と見られています。
その教会では、毎年25年間にわたって、約2000人の信者を集めて、断食と祈りの週の一環として、フランス全土、海外からの信者を受け入れており、教団側は、その時点で、信者には、コロナウィルスの症状のある者は、いなかったとしていますが、(症状が出なくても感染しているケースが多いのがこのウィルスの恐ろしいところ)結果的には、その中に感染者が数名おり、集会終了後、数名の感染者から感染した信者が、全国に散らばって行ったと考えられます。
フランス当局は、この集会に参加した信者を通じての感染者は、2500件に登ると発表しています。
しかし、その時点(2月中旬)では、フランス政府のウィルスに対する警戒も緩く、その翌週に、ようやく5000人以上の集会が禁止された状態でした。
ですから、教会側を一概に責めることもできないわけですが、その後は、自身も感染した自主隔離生活に身を置いた牧師の一人が、信者に向けての説教で、「コロナウィルスは、世界を破滅に追い込むための悪魔の計画だ!だが、神は我々を見守り、救って下さる。」と述べています。
この教会については、詳しいことは、わかりませんが、宗教、信仰というものは、時として、危険な状況においても、人を動かし、自分の行動を正当化することにも導くことを忘れてはなりません。
フランスだけでなく、世界各地で、この危機的状況の中、お祈りを捧げるという宗教団体がいくつもあります。祈りたいのは、わかりますが、祈ることは、集まらずともできるのです。
このような病気や不安が蔓延した危機的状況には、必ず擦り寄ってくる新興宗教も現れます。
人を救うはずの宗教が感染爆発の震源地になるのは、あまりに皮肉なことです。
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「宗教の教育」
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