コロナウィルスと太陽の誘惑
この週末のフランスは、晴天に恵まれ、気候もすっかり良くなり、暖かく、なりました。外出禁止から3週間が経とうとしているフランスでは、パリを含む地域が学校のバカンスに突入し、天候にも恵まれ、すっかりバカンス気分。
これが、普通の日常であったなら、こんなに気持ちのいい季節はないのに、この太陽の誘惑が恐ろしい結果を招くことを考えないことは、なかろうに、皆、長期間になってきた、閉じこもり生活に辟易し始め、また、特に、小さい子供を抱えての閉じこもり生活のストレスは、相当なものなようで、この週末は、外出禁止令発令以来、太陽に誘われた人が多く、外出した模様です。
我が家も娘が小さい頃には、外出禁止などの状況ではなくとも、いかに、娘のエネルギーを発散させるかに、とても苦労しましたから、今の状況で、小さい子供を抱えるご家庭のご苦労は、察するに余りあります。
バカンス突入に向けて、政府は、16万人の警官を配備し、バカンスに出ようとする人々の警戒をしていたのですが、予想に反して、遠距離の移動をしようとする人は、少なく、それぞれが、近場での散歩や買い物に出る人が、この天気の良さにも誘われて、びっくりするほど、出歩き始めたのです。
パリには、隣接した、ブーローニュやヴァンセンヌの森がありますが、土曜日のブーローニュの森などは、シート持参で、日光浴やピクニックをする人まで現れ始め、慌てたパリの警察は、日曜日は、ブーローニュの森は、厳重警戒の監視体制が敷かれ、たとえ、外出証明書を持っていたとしても、罰せられることになりました。
つい、最近までは、医療現場にいる人でなければ、マスクをしても意味がないと言っていた政府も、マスクをした方が良いという風潮に変わり、テレビでも、マスクの正しい付け方・・などという説明をしていたりすることもあり、すっかり、外出する人も、マスクをしている人が多くなり、マスクが手に入らない人は、飛行機で配られるアイマスクを口にしていたりする人までいます。
逆に、マスクさえしていれば、感染しないと勘違いしているのではないかと思うほどです。
以前、パリを訪れる日本人を見て、「日本人は、何で、マスクをしているのか?」と、フランス人から、ちょっと、呆れた様子で聞かれたことがありましたが、まさか、フランス人がこんなにマスクをする日が来るとは、思ってもみませんでした。
テレビのインタビューを受ける、街を出歩く人は、「天気はいいし、日曜日だし・・」と、太陽の光が、コロナウィルスの恐怖を吹き飛ばしてしまっているようです。
しかし、当然のことながら、こんな街の様子に、医療関係者は、怒っています。「どんなに大変な思いで、私たちがコロナウィルスと戦っていると思っているのか? 今、気を緩めたら、また、更なる感染の拡大になってしまう。家にいろ!」と。
実際に、フランスのコロナウィルスによる死亡者数は、8078名(4月5日現在)1日で、500人以上が亡くなっているのです。
それでも、長期化している拘禁状態にある人々は、太陽の誘惑で、明らかに気持ちが緩んできてしまっているのです。よく、考えてみれば、こんなに危険な状況で、小さい子供を連れ歩くことが、どれだけ危険なことなのか、わからないはずはありません。
日常から、太陽の日差しにあたることが大好きで、排気ガスを吸いながらもカフェでも、外のテラスに座って、コーヒーを飲みながら、おしゃべりをしているフランス人。
フランス人にとって、きっと、太陽の誘惑は、DNAレベルの誘惑なのです。
今週のパリも、天気予報によると、悲しいほどお天気なのです。
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「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html
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