2020年4月3日金曜日

フランスのコロナウィルス対応は、どこで間違っていたのか?




 フランスでは、一昨日のフィリップ首相の発言から、ロックダウン解除の方法などが、ニュースのごくごく一部で、話題に上がっています。それは、熟慮しなければいけない問題ではありますが、実際のところ、今はまだ、そんな話をしている場合ではなく、未だ、死者も、感染者も増え続けている状態で、「今、なに言ってるの?」というのが、正直なところです。

 今は、ロックダウン解除よりも、「なぜ、こうなってしまったのか? なぜ、こんな状況が続いているのか?」という声の方が大きいのは、当然のことです。

 ロックダウンのタイミングを振り返る報道により、今から考えると、いかに、悠長に構えていたのが、改めて、わかります。

 昨年から、行われていた年金制度に反対するデモに加えて、昨年12月に始まった、交通機関のストライキによる、フランスでは、考えられないような混雑した電車、間引き運転の中で争う人々、それに伴うデモなどは、今年に入っても、フランス中で行われており、デモは、3月14日まで、続いていました。

 3月12日夜の最初のマクロン大統領の演説で、翌週からの幼稚園から大学までの学校閉鎖などの発表され、14日の深夜から、レストラン、全ての商店(食料品や薬局を除く)や娯楽施設が閉店になりました。

 しかし、パリの街中では、まるで、大晦日のカウントダウンのように、大勢の若者が集まり、15日は、市町村選挙が行われ、「政府も選挙以外は、外出しないように!」と、呼びかけてはいましたが、実際に、選挙自体も感染の媒体となってしまいました。

 選挙の終わりを待っていたように、16日の夜には、17日の正午からのロックダウンが発表され、17日には、パニック状態になった人々が、日用品の買い物に押し寄せました。
この時、すでに感染者は1万人を突破しており、死者は372人となっていました。

 フランスを現在の状況に追いやったのは、ロックダウンの遅れは、何よりも致命的でしたが、原因はそれだけでなく、マスクを始めとする様々な医療品の不足にもよるところも大きいのです。

 フランスは、2011年以降、ゴムを使用していることから、保存期間が5年しかないという理由で、パンデミックの非常時対応のマスクの国としてのマスクのストックを廃止していたのです。

 結果、現在は、マスク争奪戦争と呼ばれ、中国からのマスクは、アメリカとの壮絶な争いになっており、交渉ギリギリまで、行き先の決まらないマスクが最後の段階で、アメリカが3倍の値段で買っていくというケースも報告されています。

 それでも、フランスに届くマスクを乗せたトラックは、今や、空港から警察の車が先導して、物々しく、運ばれていますが、それでも、圧倒的な不足は、一向に緩和されていません。

 それは、医療現場だけではありません。

 今の状況では、信じられないような、マスクも満足にない、感染を避けられないような、劣悪な環境で働かざるを得ないアマゾンの倉庫(労働者が強いはずのフランスでこんなことが起こり得るのかと驚愕します。)で働く人々などの映像や声を聞いていると、あまりに悲惨で、これでは、まだまだ感染は止められないと思うと同時に、この時期、何かを注文して、配達を頼むことにも、罪悪感を感じるのです。

 ロックダウンの前後は、皆、少なからず動揺し、それがしっかりと定着するまでには、ある程度の期間がさらにかかるのです。コロナウィルスの感染の速度は、恐ろしく早いのです。

 今、日本は、緊急事態宣言を躊躇しているようですが、その期間も考慮して、なるべく早い対応をして欲しいと思っています。

 
 

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