2020年4月24日金曜日

フランスのコロナウィルスによるロックダウン解除のトリセツ(取説)


La gare Saint-Lazare, le 18 mars 2020, à Paris.


 フランスでは、一ヶ月近く延長されたロックダウンも、ロックダウンの解除問題で、解除に際する準備期間としては、むしろ、短いくらいに、慌ただしい期間となってきています。ハッキリ言って、ゴタゴタしています。

 未だ、コロナウィルスが蔓延している状態でのロックダウンの解除には、たとえ、段階的にとはいえ、地域ごとに進めるかどうか、人々の地域間の移動の問題、交通機関など、あらゆる所に気を配らなければなりません。

 学校の再開に際しては、環境整備から、授業の進め方、給食の問題、子供の指導。

 特に、大量のマスクの手配は必須で、とりあえず、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の交通機関の利用者には、マスクが無料で配布されることになったようです。(現在のところ、一般市民は、マスクを容易に手に入れることは困難です。)

 レストランやカフェ、映画館などは、一先ず、先送りとされていますが、それ以外の再開される商業施設、商店に関しても、お客様との距離を取りながら、商品を手にとって、試してみたり、試着したりすることにも注意が必要な中の再開は、困難を極めます。

 今は、それぞれの場面で、ロックダウン解除に際しての取説、ロックダウンマニュアルを必死に模索しています。

 しかし、私は、一番、取説が必要なのは、国民(大人)の意識の、衛生観念の教育だと思っています。子供は、教師が指導しますが、大人は、余計に始末が悪いのです。

 マスク一つをとってみても、もともと、フランス人にとっては、馴染みのないもので、むしろ、マスクをしている日本人などを、とても奇妙な目で見ていた人たちで、それを四六時中、自分たちが、つけて歩くというのは、彼らの美意識にも反するうえに、不愉快なことに違いないのです。

 マスクをつけていることが、息苦しいのか、マスクをしているのに、その意味を考えずに、鼻をずらしていたりする人がいるのには、呆れ返ります。正しいマスクの付け方から、教育しなければ、なりません。

 駅や街中で、用を足したり、その道路に平気で座り込んだり、土足のまま家に上がることも、手をこまめに洗うことも、うがいをすることも、一度使ったティッシュは、使わずに捨てることも、まるで、日本の幼稚園で教えるようなことを、何が不潔なのかを教えなければなりません。

 そして、何より、長期間の閉じこもり生活で、精神的にも疲弊している国民が解放された時の歯止めの効かなさが何よりも怖いのです。ダイエット後のリバウンドのような状況になりそうな気がしてならないのです。

 すでに、ここ数日、これまでは、ロックダウンのために、発生していなかった交通事故が発生し始めています。もうすでに、家に閉じこもりきれずに、外出して事故を起こしているのです。

 ICUにいる重症患者は、減少傾向にある(5053人・4月23日現在)とはいえ、これは、コロナウィルスの患者数で、他の病気でICUに入っている患者を加えれば、7500人以上に上ります。これは、大幅に満床状態をオーバーしている状態で、しかも、未だに500人以上の人が亡くなっているのです。

 これまでの一ヶ月半近い、ロックダウンの状況でさえ、おさまらない感染状況で、ロックダウンを解除しての、さらなる感染拡大が起これば、医療関係者とて、疲労困憊の状態ですから、収集がつきません。

 5月11日まで、あと2週間弱、その間に、どうか、賢明な判断で、キッチリとしたロックダウン解除の取説ができることを祈っています。











 

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