コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス
一昨日のテレビのインタビューに答えたパリにある39の病院を統括するマーティン・ハーシュ氏の、今回のコロナウィルスの、感染拡大から、パリの病院が、これまでの歴史上最悪の医療崩壊に至った経緯の話は、実に衝撃的なものでした。
私自身は、当初は、詳しい記録は、つけていなかったので、正確な日にちは、覚えていないのですが、私は、2月に、日本へ帰国しており、フランスに戻ったのが、2月末、その頃は、フランス人は、ダイヤモンドプリンセスの件もあり、日本の方が危険な状態だと思っており、また、このウィルスが中国から広まったこともあり、とかく、アジア人を十把一絡げにするところがあるフランス人は、アジア人を見ると、コロナウィルス扱いして差別したり、ましてや、マスク=アジア人=コロナウィルスのような目でコロナウィルスを見ていました。それが2月末から3月の初旬の事です。
それが、3月の1週目の週末あたりから、どうやら雲行きが怪しくなり始め、とりあえず、フランス人でさえ、マスクや消毒ジェルの買い占めを始めました。しかし、マスクを買い占めているというわりには、街中には、依然として、マスクをしている人はおらず、マスクをしていれば、逆に感染している人として扱われるような雰囲気でした。
マーティン・ハーシュ氏の談によれば、「前例のない異常な危機に直面している。」と
と確信したのは、疫学者からの報告を受けた3月13日(金)だったと振り返ります。恐ろしいほどの患者数と急激に悪化する病状。そして、これが、さらに深刻な状況になっていく事は、明らかな報告でした。
彼らは、その現実に必死の対応をしましたが、同時に、今回の感染爆発に対する自分たちの準備しているものが、圧倒的に充分ではないことも自覚したのです。
そんなことを微塵も知らない国民は、翌日の14日(土)は、まだ、年金問題のデモで騒いでいましたし、15日(日)には、選挙も行われていました。そして、ロックダウンになったのが、17日(火)の正午でした。
次々と運ばれてくる重症患者、足りない病室、足りない呼吸器、足りないスタッフ、足りない防護服にマスク、病院は、苦しむ患者で溢れ、病院の廊下でさえも、満杯になり、トラックに寝かされた病人をどうしたら良いかに頭を抱えたと言います。
スタッフは、家にも帰れず、足りない防護服の代わりにゴミ袋を着て、動物用の呼吸器を使い、潜水用のマスクを使い、患者の対応に当たっていたと言います。そんな医療崩壊のピーク状態が、3月31日だったと振り返ります。
フランスでは、このピークを”TSUNAMI"と報道していました。
以降は、重症患者を国中の余裕のある地方の病院に搬送することを必死に繰り返し、ロックダウンの効果もあり、ピーク状態からは、少し緩和されるようになりました。しかし、それでも死者は増え続け、21000人(21340人・4月22日現在)を突破しています。
彼は、この壊滅的な危機の中の希望は、医師、看護師、電気技師、ドライバーなどなど、全ての人の連帯だと語ります。そんな彼の口調は、静かで、普段、強い口調で話す人が多いフランス人には、珍しい気もしましたが、その分、余計に、深く、説得力のあるものでした。
そして、今、ロックダウンが段階的に解除されることが発表された中、失業者は、1000万人増加し、郊外では、あちこちで、外出制限の検問にあたる警察に反発する若者たちが、花火や爆竹を鳴らしたり、車を燃やしたり、建物を壊したりして、暴動を起こし始めています。
重症患者数は、減少の傾向にあるとはいえ、未だ、満床状態のフランス、医療崩壊に加えて、社会の崩壊の危機が迫ってきています。
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