2022年8月10日水曜日

フランス人が日常のトラブルには寛容な不思議

  


 5年近くも工事していた近所の市営プールがリニューアルオープンして、まだ1ヶ月も経っていません。パンデミックで長い間、できるだけ歩くようには心がけていたものの、運動不足だった私は経年からの体力の衰えをひしひしと感じ、これからはせめて、週に1度か2度くらいは泳ぎに行こうとオープン以来、プールに通っていました。

 もともと歩くよりも泳ぐ方が楽な私、身体がほぐれる感じで全身に感じる心地よい疲れにこのところ、順調にプールに通っていました。

 この市営プール、以前は夏には職員がバカンスを取るために夏の間はクローズしてしまうプールだったのですが、さすがに長い工事期間を経てリニューアルした後は夏でもクローズにならないことで少しホッとしていましたが、営業時間は昼12時から14時、15時から19時というなんと、昼休みつきというクラッシック?なスタイルです。

 この昼休みのあることには、少々、苦々しい思いもあるのですが、まあ、夏、閉めないでくれるようになっただけでも、まだマシというものです。

 とにかく、今のところ全てが新しくなってキレイで気持ちよく、ここのところ、自分を奮い立たせてプール通いをしていたのですが、さて、今週も頑張るぞ!と出かけたところ、なんと、プールには、人手不足のために臨時休業のお知らせ・・8月の間、期日指定で、週1〜2日、お休みの日が指定されて張り紙がされていました。

 出かける前に、え〜と午後からの時間は何時からだったっけ?とサイトで営業時間を確認して、現在は開いているのを確認して出かけたのに、まさかの休みで、ムッとして帰ってきました。ちょうど、私と同様、プールの入り口で張り紙を見て、呆然としていた若い男性も「ズッ・・」と呟いて、帰っていきました。

 そして、その翌日、今日こそはやってるよな・・と意気揚々と出かけて、午後の時間帯に一番のりの勢いで出かけていき、さすがにこの暑い中、夏休みのバカンス中ということもあり、子供連れも多い中、プールの前には人だかりができていました。

 ところがオープンの時間になったら、何やら中から再び張り紙を貼る職員が・・「えっ??まさか、また休み??」と思いきや、その女性が貼り出したのは、「子供用プール閉鎖」の張り紙・・、周囲の子連れのお客さんからは、「4年以上も工事してたのに、また??」という声が聞こえてきたものの、関係ないお客さんは、なだれ込むようにプールへ・・。

 「すみません」とか、「ごめんなさい」でもなく、「冷房してるから、扉を開けっぱなしにはできないんだから!」、「いいわね!子供用のプールはクローズよ!」とがなりながら、職員の女性はプールの中に消えていきました。謝らずにまさかの逆ギレ・・最近はあまり見かけなくなったクラッシックなフランスの接客を久しぶりに見た思いでした。

 それでも、子供用のプールは私には関係はなく、さっさと私は淡々と泳ぎ始め、一応、1日のノルマにしている1キロを泳いで、さて、ゆっくりシャワーを浴びて、そろそろ帰ろうかな?・・と思っていたら、何やら、周囲のみんなも引き上げる様子。午後の営業時間が始まって、わずか30分ほどのことです。

 特に場内アナウンスがあるわけではなく、どうやって、知らされたのかはわからないのですが、とにかく、その日のプールは閉鎖になって、全員が追い出される様子で、皆がシャワーを浴びて、帰り支度を始めだしました。

 私としては、どちらにせよ、自分が泳ぐだけ泳いで、もうさっさと帰るつもりにしていたので、別によかったのですが、皆がしぶしぶとプールを追い出されて帰っていくのは、なんだか気の毒な感じでした。

 なぜ、急に営業時間帯に閉めることになったのか?と聞いても、フランスお得意の「プロブレム・テクニック、詳しいことは知らない」という回答。「明日はやっているの?」と聞いても、「わからない・・」と両方の手のひらを返して肩をすくめて首をかしげるフランス人お得意のジェスチャーでの回答。

 プールの出口では、その日の分のチケットの払い戻しの代わりに次回の分のチケットをくばっていたので、私ももらって帰ってきて、なんだか、一応、泳いだので、なんか得した気分でしたが、他の人々は、まだろくに泳いでもいないのに、帰らなければならないのに、さほど怒る様子もなく、おとなしく帰っていくのでした。

 以前から私が不思議に感じているのは、とかく自己主張が激しくて、黙って引き下がらないフランス人が、こと日常のこのようなトラブルに対しては、さほど腹を立てる様子もなく、おとなしく引き下がることで、職場などで、「日本人は黙って我慢するからダメなんだ・・」とかいって、焚き付けられたりもするのに、なぜ、日常のトラブルに対してはこんなにあっさりと引き下がるのだろうか?と思うのです。

 度々起こるストライキや、電車が止まって、急に線路の上を歩くハメになったりしても、猛烈に怒りだしそうなところ、案外、騒ぎにもならずに、それはそれと受け入れて、再び電車が動き出すのを待ったり、淡々と他の線に乗り換えていったりするのです。

 逆に我慢強いはずの日本人の方がとかくサービスなどに関しては、ほんの些細なことで、腹をたてて、クレームをつける人がいたりするので、フランス人が日常のトラブルに関しては、寛容なことが不思議です。

 どうにも、フランス人と日本人では腹を立てるポイントが違うようで、フランス人が日常に多発するトラブルにいちいち腹をたてないのは、まぁこんなもんだ・・という慣れもあるのか、また、逆に、「お客さまは神様」の本当に行き届いたサービスが日常の日本では、ほんのわずかなこともお客さまは許してくれないのかもしれません。

 逆に今の日本の統一教会と政治家の繋がりなどの問題を見ていると、フランスだったら、大変な暴動が起こるだろうと思われるのに、日本人はもっともっと怒っていい!と思うのに、暴動などは起こっていないのも、フランス人から見たら、それはそれで、不思議なことかもしれません。


フランスの日常トラブル 怒りのポイント


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1 コメント:

Unknown さんのコメント...

「慣れ」の違いもあるかもしれませんね。
例えば日本では数分の電車の遅れも起こさないように努め、数分遅れただけで謝罪したりするので日本人はそういう事に良くも悪くも慣れてしまっています。
日本人にすると問題である事がフランスではこどもの頃からよく起こる(よく知りませんがw)ので慣れていて問題にならないのかなと思いました。