2020年5月8日金曜日

フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?

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 フランスは、3月17日以来の約2ヶ月間のロックダウンを5月11日に解除することを発表しました。

 前回のロックダウンの延長と解除の発表以来、地域ごとの段階的な解除ということで、フランスの地図を感染状況、病院の空き状況などによって、赤、黄色、緑の三色に色分けしてきましたが、今日の発表では、赤と緑の2色になりました。

 色分けをし始めてから、赤から黄色、緑へと変わった地域もありましたが、結局のところ、イル・ド・フランス、オー・ド・フランス、グランエスト、ブルゴーニュフランシュコンテの4つの地域、およびマヨット県は、赤のまま、残りました。

 ところが、赤の地域は、解除は、延期と思いきや、厳しい条件付きということで、他の地方と同じ段階で、「ロックダウン解除」という決断を下したのです。

 数日前に、マクロン大統領が小学校(イル・ド・フランス地域にある学校)を訪問し、マスクをして、子供たち(親が医療従事者だったりする家庭の子供が通学している生徒が数人だけの教室)と接したりしている様子を報道したりして、すっかり、解除モードをアピールして、子供たちにも、「来週からは、クラスメートも少しずつ学校に来るようになるよ!」などと、話したりしていたので、まさか・・と思っていたのです。

 わざわざ、色分けしておきながら、同時に解除するのは、解せませんが、それだけ、経済的にも逼迫した状況なのだと思います。ここのところ、一日の死者数も減少してきているし、ICUにいる重症患者数も減ってきています。しかし、レッドゾーン(赤の地域)は、未だ、ICUも満床状態で、余裕がありません。私は、そのための、色分け、段階的な解除と受け取っていましたが、この状態が長引くことは、明白で、リスクを冒してでも、ウィルスとともに生きていくことを模索し始めなければならないと判断したのでしょう。

 検査数を週70万に拡大し、陽性者は、隔離し、感染者の感染源の追跡も開始します。

 特に、イル・ド・フランスは、症例の多さは、予想以上としながらも、ロックダウンを解除することは、人口も多く、依然としてリモートワークが推奨されるものの、公共交通機関の混雑は避けられないイル・ド・フランスは、特にリスクは高いと思われます。

 公共交通機関の利用は、11才以上の乗客には、マスク着用が義務付けられ、マスクをしていない場合は、罰金135ユーロが課されます。また、ラッシュアワー(6:30~10:30, 15:30~19:30)には、職業証明書や外出証明書(通勤以外の止む終えない理由の場合)の携帯が必要となります。
中学は、閉校のまま、公園や庭園なども解放されません。自宅から100キロ以上の移動には、新たな証明書が必要となります。(原則的に禁止)

 とはいえ、カフェやレストラン、映画館などは、営業は、開始できないものの、40万の企業が再開され、87万5千人の人が仕事を再開します。全国の学校の80〜85%が再開するとしており、幼稚園、小学校の一部の学年の授業が段階的に再開されますが、実際に登校する生徒は、せいぜい6人に1人だと予想されています。

 こうした決断には、経済的な逼迫と同時に、近隣のヨーロッパ諸国が、少しずつロックダウン解除を始めていること、特にドイツのロックダウンが順調なことにも影響されているのだと思います。

 しかし、最初から、ドイツは、全く違う対応をしてきているのです。死者数も重症化する患者もフランスとは、桁違いです。当初から、検査・陽性者の隔離を繰り返し、現在も、検査数は、桁違いです。国民性も違います。2ヶ月間の監禁生活でのフランス人のストレスは、相当なものです。

 ドイツが順調だからと言って、フランスが同じように行くと考えるのは、危険です。フランスのロックダウン解除の鍵は、検査と隔離がどれだけ徹底して行うことができるかにかかっていると思います。

 公共機関だけでなく、マスクの着用が推奨されるとの発表以来、各市町村からの住民へのマスクの配布が始まっています。我が家にも昨日、紺色のマスクが届きました。各市町村は、住民からの突き上げを食って、マスクの配布の有無は各市長の政治生命がかかっていると言っても過言ではありません。

 しかし、マスクをすると、マスクをしていることで安心して、フランス人が再び、手を洗わなくなるかもしれない・・などと心配する人がいるような状態でのロックダウンの解除は、本当に心配です。実際に、この解除に猛烈に反対している赤い地域の市長さんもいます。

 今日も、何度、救急車のサイレンを聞いたか、わかりません。

 6月2日には、5月11日以降の感染状況の変化により、解除が広範囲の業種に広まるか、それとも再び、逆戻りするかの発表があるそうです。

 ロックダウン時には、他に選択の余地がない状況でしたが、今回は、他の選択もあったはず。兎にも角にも、国の将来に関わる重大な決断が下されたのです。

 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?
 



















 

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