自己責任に委ねられたフランスのコロナウィルス・ロックダウン解除
5月11日のロックダウン解除が発表されたのが、5月7日(木)。地域による段階的な解除とのことだったのに、条件付きとはいえ、レッドゾーンまでの解除に、この三日間は、とにかく決まってしまったことゆえ、皆、必死の準備に追われていますが、特に公共交通機関の現場は、混乱状態のまま、ロックダウン解除に突入します。
ここのところ、一日の死者数も70人(5月10日現在)までに下がっていますが、ICUにいる重症患者は、減少しているものの、未だ、2812人もおり、その半分以上がイル・ド・フランスに固まっている状態です。つまり、パリ近郊の病院は、未だ、満床状態です。
そんな、現状を踏まえてか、フランス人の72%は、ロックダウンが解除になっても、再び感染が拡大して、また、ロックダウンになると思っていると言います。
一番、心配されているのは、パリ、パリ近郊の公共交通機関は、5月11日の段階では、パリの大部分のメトロ、バスは、通常の75%の運行状態で、(1、14号線は、通常どおり、13号線85%、2〜12号線は75%)、郊外線は、60%だといいます。
依然として、リモートワークが続けられる人が公共交通機関を利用しないことを差し引いても、人と人との距離を取らなければならないことを考えれば、充分な運行状態とは言えません。バスに関しては、乗客は、最大20人までとなっています。
これまでのストライキの際などの公共交通機関の混乱ぶりを見ていると、今回の交通機関での混乱が起きた場合は、ことさら恐ろしいことになることが考えられます。(だいたい、平常時でも、ストライキでなくとも、パリの交通機関は何かと問題が多いのです。)
このような規則や、外堀は、どんどん埋められえていますが、実際の労働者のリスクは、守られきれていないのが現状です。国や会社の経営者側は、これまでのロックダウンでのマイナスを少しでも埋めようとロックダウン解除には、前向きですが、実際の労働者たちには、不安が大きいようです。
労働環境の安全の確保ができていないということで、組合からの物言いがつき、ルノーの工場などは、閉鎖されたままですし、大勢の人が不安に思っている公共交通機関(RATP)の職員(運転手)などからも、今のところ、安全確認への回答を得ていないと訴えています。
ロックダウンが解除されるということは、保証もなくなるということで、リスクを侵してでも働かなければならないのですから、あとは、自分を守るための自分の保護は、各々が自分でしろ!と、そのリスクは、国民のモラルに大きく委ねられた感が否めません。
学校の再開にも反対して、子供を行かせないと言っている人が、多いです。
ここへ来て、ヌーベルアキテーヌ地方では、葬儀の参列を機に、また、オードセーヌでは、学校再開の準備に取り組んでいた人々からの感染の拡大が発表されています。
しかし、ロックダウン解除になった午前0時、窓の外からは、歓声が聞こえ、まるで12月31日の年明けの瞬間を楽しむように、マルセイユでは、0時を待って、街に繰り出す若者まで・・。やはり、開放感を喜んでいる人も多いことに、あらためて、驚かされます。
再び、ロックダウンになることを覚悟しつつも、とりあえずは、ひと息つきたいというのが、正直なところなのかもしれません。中には、今回のロックダウン解除は、次のロックダウンへの準備期間と言っている人までいます。
通勤でなくとも、これからは、どんどん、人が街に溢れ出します。
パリのジョルジュポンピドゥ病院の緊急責任者は、「今後5週間で感染拡大が再び始まる可能性がある」と警告を鳴らしています。
しばらくの間、フランスは、ロックダウン中以上の混乱が続くでしょう。
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