カルロス・ゴーンがフランスのニュースチャンネルLCIの19時からのニュースのインタビューに答えるために生出演するというので、彼が今、何のために、何を話すのか? 注目していました。
カルロス・ゴーンが日本から信じられない逃亡をしたのは、2019年の大晦日のこと、それから、すでに一年以上が経過しています。
逃亡中の身でありながら、公共のテレビに出演するなど、なんと太々しいことかと思いますが、逃亡先のレバノンに到着の数日後には、全世界からメディアを集めて記者会見まで行ったのですから、今さら、中継とはいえ、フランスのニュース番組に生でインタビューを受けることなど彼にとっては、何のことはないことかもしれません。
とはいえ、インタビューということもあったのでしょうが、いつもの饒舌な彼の印象とはちょっと違い、かなり気をつけて話している印象で、あまり、フランス語が流暢とも言えない彼の妻が話す場面も多かったのです。
というのも、彼にとっては、これは、最近、彼が妻との共著という形で出版した、彼の逮捕から逃亡劇、その後の様子を綴った内容の本(「Ensemble Toujours」(いつも一緒に))の宣伝であり、インタビューもその本の内容に沿ったものであったためです。
彼は、このインタビューの中で、すでに聞いたことのある逮捕時の話や、日産やルノーには失望したこと、調べれば、調べるほど自分の逮捕が計画的に図られた陰謀、裏切りであったこと、裁判を待ち続けて日本に滞在し続けることは、彼にとって「死」を意味することであり、当時、自分には、死ぬか生きるかの選択肢があり、生きることを選んだ。そのことに躊躇もなかったし、後悔もないと語りました。
また、彼は、日本の司法制度に対して、「これは策略であり、自分のケースは多くのケースの一つでしかなく、私と同じ経験をしている人が何千人もいることを忘れないでください」と述べています。
しかし、多くの人が興味を持っている逃亡劇の詳細については、その時の自分の心情、まるで大手術を受ける医者に身を任せる麻酔を打った患者のように恐る気持ちはなかったことや、映画「ミッドナイトエクスプレス」のようだと思ったことなどを語りましたが、具体的な方法について、また容疑にあげられているお金の流れについては、ルノーや日産とのそれぞれの会社の事情もあるために話せないとかわしました。
日産やルノーに対しても、「失望した」とこの期に及んで、どこか、上から目線。さすがというか、「失望した」のは、どっちがどっちへ?という話です。
また、彼の逃亡のために、すでに5人が逮捕されていることについても、自分が今、彼らに対して何かを語れる言葉を持ち合わせていないと述べたのみで、すぐに話をすり替えてしまいました。
結局、都合の悪いことに関しては、話をすりかえて、はぐらかす、いつもの手法です。
そして、フランス国籍も持っている彼に対して、フランスに戻ることは考えていないのか?という問に対して、日本の司法のやり方はわかっている、リスクは冒さないと答えました。
彼の日本での逮捕後に彼の妻がエリゼ宮に大統領宛てに助けを求めて、手紙を送ったにも関わらず、全く返事もなく、対応がなされなかったことも話しています。当然ですが・・。
そもそも、彼は、日本からだけでなく、フランスでも、ルノーでのお金の流れや、彼の資産に関して、税金逃れのための工作に目をつけられており、すでにフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえていると伝えられています。
これは、彼が税法上の住居を2012年にオランダに移してたことが、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したことによるものです。
彼は、日本の司法のために、フランスに入国するリスクは取らないとフランスに入国できないのは日本のせいのように語っていますが、実のところ、フランスでも、いくつもの容疑がかけられているためにフランスに容易に入国することはできないのです。
彼は、「国や企業に太刀打ちができるものではない」としながらも、「自分は無実であり、あくまでも真実を回復する」と述べ、現在は、今までにない自由な時間の中で自分の人生を再構築するための生活を送っている」と説明しました。
そのインタビューの3時間後に、彼はまた、別のニュースチャンネル(BFMTV)に、出演、これまでの彼の逮捕から、逃亡、逃亡後の記者会見、逃亡を手伝った人々の逮捕の様子までがまとめられたショートビデオが流された後に登場しました。
同時にこの一連のビデオを彼自身も見ていたはずです。4分ほどにまとめられたこのビデオ、とてもわかりやすく上手くできていましたが、これを同時に見ていた彼が、何を考えていたのか? インタビューの内容以上に気になりました。
https://twitter.com/BFMTV/status/1367237699485261827
彼が逃亡直後に行った記者会見から、一ヶ月ほどで、世界はコロナウィルスによるパンデミックに襲われ、衝撃的な彼の逃亡劇は、あっという間に影を潜めてしまいましたが、そんな期間にも着々と本まで出版するカルロス・ゴーン。
レバノンを出国するリスクは冒さないと言っていますが、まさか、正直に○○へ行きますとは公言するわけもなく、また、別の計画を着々と練っているのではないか?と思ったりもするのです。
いずれにせよ、まんまと逃げられて、一年以上、治外法権とはいえ、手が出せないのをいいことに、堂々と会見を行ったり、本を出版したり、その宣伝のためにテレビ出演したり、常人では理解できない精神構造と執念。
しかし、フランスでも、彼が潔白であると思っている人はいません。
<カルロス・ゴーンが最近出版した本>
カルロスゴーン
<関連>
「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_9.html
「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_15.html
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