今週から、フランスの薬局やスーパーマーケットでは、コロナウィルス感染を自宅で自分でチェックできる検査キット(Auto Test Covid)の発売が解禁になります。
これには、偽陰性、偽陽性の科学的な信頼性への懸念もあり、また、陽性の場合のフォローアップが難しいために、長いことフランス政府では、この発売許可を保留、検討し続けてきましたが、最近、これと同種の市販のデバイスが、スイス、スロベニア、オーストリア、イギリスなどの他のヨーロッパの近隣諸国で採用され、数日間、子供たちの学校への復帰などをサポートしている実績も踏まえ、フランスもこの検査キットの販売許可に踏み切ることになりました。
この自宅に買い置きもできるテストにより、感染の疑いをもった瞬間に、すぐ検査(鼻腔検査)ができ、結果が15分後に出ることから、より早く隔離ができる有効性を期待しています。 価格は、5つのパッケージで21ユーロから25ユーロと見込まれています。
しかし、セキュリテソーシャル(国民健康保険)のカードさえあれば、検査施設、薬局などでは、PCR検査が無料でできるフランスで、一般的に広まるかどうかは、甚だ疑問でもあります。
また、陽性者の隔離についても、検査機関で行った検査でさえも、隔離がきっちりされていないフランスでは、検査キットを発売したところで、隔離問題は、さらに曖昧になります。
フランスの感染状態は、日々、勢いをあげて、深刻さを増しており、現在、最も問題になっているイル・ド・フランス(パリ近郊の地域)の集中治療室の占拠率は、98.9%にまで上昇しており、病院のプログラムを40%組み直し、さらに患者の他地域への大掛かりな移送まで開始しているにもかかわらず、上昇し続ける集中治療室の占拠状態は、もうすでにパンク状態を通り越しているのです。
もしも、東京中の全ての病院が満床になり、患者をヘリコプターや飛行機、新幹線で移送する状態を想像できますか? フランスでは、昨年にも同じことが起こっているので、もはや、珍しい光景ではなくなってしまっているのですが、やはり、何度見ても、衝撃的です。
そんな状態ですから、感染しても、病院では余程、重症でなければ、扱ってももらえず、陽性になって、多少の症状があるくらいでは、ドリプラン(フランスで最も一般的な解熱・鎮痛薬・パラセタモール)を飲んで、様子を見るように言われて帰された・・という話をいくつも聞いています。
今や集中治療室は、ほぼ満床、重症になっても、たらい回しになる可能性大です。
検査場、薬局における最大限の検査の拡大に加えて、検査キットの発売と、そしてワクチン接種の拡大と、できる限りのことはなんでもやっているフランスですが、残念ながら、イギリス変異種の感染拡大のスピードは、それを上回り、新しい対策も虚しい感じが拭えません。
とはいえ、家庭内に体温計を常備しているように、コロナウィルス検査キットを常備するようになる日が来るとは、なんということでしょうか?
「えっ?もしかしたら・・」と感じた時に、とりあえず検査ができるのは、安心かもしれません。とりあえず家で検査してみてから・・なんだか、妊娠検査薬みたいだな・・とも思ってしまったのです。
<関連>
「フランスのPCR検査 感染者を責めないフランス人のラテン気質」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/pcr.html
「フランスのロックダウンは遅すぎた コロナウィルスと戦う大移動作戦」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_30.html
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