2022年4月1日金曜日

パリから来ている友達という括り

   


 学生時代からの友人の職場が、たまたま私の日本の実家の近所に移転してきて、そして、たまたま、彼女の職場に私も公的な手続きをしに行く必要があり、一時帰国中でバタバタとあちこちを奔走中、ちょっと時間が空いたので、そうだ!今、行っちゃえ!と、突然の思いつきで、その手続きがてら、友人を訪ねて行ったのでした。

 まあ、私は私の用事で行くので、ちょっと、そのついでに友人の顔を見ていこうと、手続きの途中に担当の人に「〇〇さんは、いらっしゃいますでしょうか?」と聞いてみたのです。

 その場で長話をするわけではなく、ちょっと顔だけ見て、もし、今夜の予定が空いているようだったら、夜、一緒に食事でもしようよ・・と、そのことを伝えるつもりでした。

 本当に、偶然にも偶然、彼女が転職してそんなに時間が経っていない職場が、私の家から歩いて2分とかからないところに移転してくるなんて!そんな偶然は、奇跡的です。

 そして、私は思ったよりも手続きは簡単に済ませることができ、(さすが日本!早かった!)友人との数年ぶりの再会を果たし、夜には一緒に食事をしに行く約束をして、次の予定にとりかかったのでした。

 夕方になって、彼女から、「仕事、終わったよ〜」とLINEをもらって、まだ、少し夕食の時間には、早かったので、少しおしゃべりしてからと思い、「じゃぁ!とりあえず、家に来て!」と頼んで、5分後には、彼女は家に来てくれました。

 もう、片付けの途中でとっちらかった我が家でも、いまさら取り繕ってカッコつける間柄でもなく、家でしばらくおしゃべりをしてから、近所に食事に出かけました。

 話は次から次へと湧き出すように出てきて、本当に楽しい時間を過ごすことができました。海外生活が長くなって、それでも付き合いがこんなに長く続いている友人というのは、本当に貴重なもので、しばらく会わなくても、一瞬で時間を取り戻せるような感覚は、本当に心が躍るものです。

 過去、日本に帰国した時、娘にも数回会っており、「わぁ〜大きくなったね〜〜!」と・・。母が生きていた頃も、すでに母は、心臓が悪かったので、小さい子供を母に預けて私一人が友人に会いに行くということもできなかったために、日本の友人に会いに行く時には、いつも娘も一緒だったために、私の日本の友人は全て、娘の小さい(可愛かった頃)時をよく覚えてくれているのです。

 一緒に食事をしながら、友人は、「さっき、あなたが事務所に来てくれた時、実は周囲の人々は、あなたに興味津々だったんだよ!」と教えてくれました。彼女が、職場の人に、ちらっと、「私の友人の実家がここからほんの数分のところにあって、でも、彼女は今、そこには住んでなくて、パリにいて、近々、パリから帰ってくるんだよ・・」と話していたというのです。

 こっちは、そんなに注目を浴びているなどつゆ知らず、朝からバタバタと銀行に行ったり、買い物に行って、汗だくになりながら、ひたすら、友人との再会にじんわりと、懐かしさを噛み締めていたばかりでした。

 何が?そんなに注目されるのかといえば、思い当たるといえば、「パリから帰ってきている・・」という括り、もちろん私と友人の間には、私がアフリカにいようとパリにいようと同じ友人であることには、変わりないのですが、この世間の「パリ括り」には、あらためて、驚かされたのでした。

 思いおこせば、昔、パリに引っ越したばかりの頃、私には、「パリ」という街には、特別の思い入れはなく、「パリに引っ越すんだ・・」と話したところ、「いいじゃない!私も嬉しいよ!パリに知り合いがいるなんて、かっこいいじゃない!」と言われたことを思い出しました。

 そういえば、以前も一時帰国中に、近所の商店街で娘と買い物をしていたりすると、おしゃべりな母が私たちのことを話していたのでしょう「〇〇さんちのパリに住んでるお嬢さんとお孫さんね・・」などと度々、言われることがあり、苦笑したことがありました。

 この世間の目の「パリから来ている・・」という括り、おそらく華麗なイメージを抱かれているような気がするのですが、帰国時には、化粧もろくにせず(パリでも大してしないけど・・)に汗だくになって、用事を済ませ、家に戻れば、このとっちらかった家に住んでいることは、およそかけ離れたイメージであるのではないか?と思い知り、「せめて、マスクをしていて良かった・・」と思わぬマスクの効用にホッとさせられるのでした。


おフランス パリ帰り


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