我が家は、たいていのところには、バスかメトロで用が足りるために、家の車も処分してしまい、自分で運転することもなくなり、運転するといえば、たま〜に旅行に出かけた時に旅先で車を借りて運転するくらいで、旅行さえも、ここのところ行っていないために車とはほぼ無縁の生活をしています。
一時は、娘が大きくなって、運転免許をとったら、また車のことは考えようと思ってはいたものの、免許はとりかけたものの(学科試験だけは取っている)、パンデミックのために、彼女自身の学業の予定なども大幅に変更せざるを得なくなったり、技能教習がキャンセルになったりしているうちに取り損ね、しまいには、自転車などでもやたらと事故が多い彼女には運転は向いていないのではないか・・などとも心配になったり、そもそもやり出したら、なんでもやり通す彼女が、ここまでことが進まないのは、それほどやる気もないのかもしれないと思いながら、結局、彼女は運転免許を取らないまま現在に至っています。
そんな我が家は買い物でさえも、家の駐車場に降りて行くよりも、ごくごく近所の大型スーパーマーケット(カーフール)に行く方が近いくらいで、しかも、荷物の多い時は、そのままカーフールのキャディーで家に荷物を運んで、後で、キャディーを返しに行く方が楽なので、買い物に車が必要ということもありません。
しかし、日本に行く時などは、さすがに車が必要で、もうここ10年くらい、以前、私が働いていた会社に出入りしていた運転手のマリオさんという人にお願いしていました。もう彼とも長い付き合いになり、電話をするのは、車をお願いする時と空港行きの車の中で話をする程度ですが、10年ともなれば、お互いの家庭環境や家族、健康状態など、そこそこお互いを知っています。
彼自身は、ハイヤーの会社を立ち上げ、結構な数の車を動かして、成功して、今では、ほぼ引退して、彼の自国であるポルトガルには、大きなプール付きの大邸宅を所有し、パリとポルトガルの半々の生活をしています。
彼は非常に温和な性格で人当たりもよく、LOREALのVIPや日本からのVIPなどが顧客ということで、決して時間に遅れることなく、きめ細やかな心使いをしてくれる人で、何より優しく、温かい人なのです。
一度、日本から帰ってきたら、ストライキのためにバスも電車もタクシーでさえもなく、途方に暮れて彼に電話をしたら、会社の車は全て出払ってしまっているから・・と彼の奥さんの車で空港に迎えにきてくれたこともありました。
今回、日本に行くにあたって、彼に電話したところ、残念ながら彼は今、ポルトガルにいるということで、以前も何回か彼の代わりに来てくれた運転手さんを手配してくれました。その電話の時点でジョエルという運転手が代わりに行きます・・ということだったので、これで車の手配はOK!と思っていたら、後から念の為にジョエルの電話番号は・・とメッセージが送られてきたので、「いつも、親切にありがとう」と返信したら、「ありがとうと言ってくれて嬉しい・・ありがとう」と返信が・・なんとも、あったかいやりとりでした。
出発当日、ジョエルが迎えに来てくれて、以前、マリオさんが心臓の手術をしたりしていたことを聞いていたので、車中、彼の健康状態を聞くつもりで、マリオは最近どうしてるの?と聞いたら、「彼はコロナで両親を相次いで亡くして、その上、どういうわけか離婚してしまって、すっかり人生が変わってしまった・・」と言うのです。
コロナで両親とも!?と驚く私にジョエルは、僕もコロナで両親ともに亡くした・・と。私の周辺には、コロナウィルスのために亡くなった人はいなかったので、初めてそんな話を聞いてびっくり! 考えてみれば、フランスでのコロナウィルスによる死者数はこれまでに14万5000人以上。これまで私の周囲にそんな犠牲者の話を聞かなかったのは不思議なくらいです。
挙句の果てに何があったのか?離婚なんて・・。彼はもうセミリタイア状態で、子供や孫に囲まれて家族仲良い家庭だったはずなのに・・。家族の誰かが欠けると生活のリズムが崩れたり、バランスが崩れたり、メンタルも厳しいもの・・家族の絆に亀裂が入ることもあったのかもしれません。
それにしても、このパンデミックの2年間、しばらく連絡を取らなかった人の人生がすっかり変わってしまったと言う話を聞くのは悲しいことです。
パンデミック
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1 コメント:
御地の様子が良くわかり毎回更新を楽しみにさせて頂いております。ありがとうございます。突然ですがこのマリオさんのハイヤー会社の連絡先を教えて頂く事は可能でしょうか。ご迷惑でなければ宜しくお願い致します。
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