2022年4月23日土曜日

フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行

   


 夜、テレビをつけたら、カルロス・ゴーンがインタビューに答えているところでした。

 ウクライナでの戦争開始以来、ニュースの大半は戦争関連の話題に切り替わり、一時は大統領選挙さえも、一掃されていました。さすがに現在は、大統領選挙が目前に迫ってきて、選挙関連の報道が増えましたが、まさか、このタイミングでカルロス・ゴーンが登場するとは思ってもみませんでした。

 彼が日本から逃亡したのは、2019年の年末のこと。当時は、思いもよらない逃亡劇にフランスでも盛んに報道され、年明け早々にレバノン到着後に彼が世界中のマスコミを集めて行った記者会見なども生放送で報道され、ドキュメンタリー番組まで作られていました。

 当時は、フランス人の知人から、「日本、逃げられてやんの・・」みたいな嘲笑を受けたりしてムッとすることもありましたが、その後、まもなく起こったパンデミックにより、彼についてのニュースもすっかり影を潜めていました。

 この間、一度、彼のフランスの税務当局が彼のフランスでの資産を差し押さえたというニュースが流れたこともありましたが、当の本人はレバノンにいるままで、話題がそれ以上、盛り上がることもなく、すっかり忘れていました。

 それが、ここへきて、このウクライナ戦争と大統領選挙の間に、「フランス司法当局がカルロス・ゴーンに国際逮捕状を発行した」というニュース。

 フランス司法当局の判事は、すでに2度、ベイルートを訪問し、カルロス・ゴーンの尋問を5日間にわたって行っていました。しかし、その内容が報道されることはなく、彼がレバノンにいる限り、如何ともし難い状態なのだと思っていました。

 これまで、フランス司法当局には、レバノン当局にカルロス・ゴーン氏への「告発通知」(フランスでは起訴に相当)を求めるか、あるいは逮捕状を発行するかという選択肢があると言われてきました。 司法関係者によると、最終的に裁判官たちが保持したのは、より「法的安全性」が高いと判断したこの第2の選択肢であったと言われています。

 今回、フランス司法が発行した逮捕状は、企業資産の乱用とマネーロンダリングに関する容疑で、RNBVとオマーンにおけるルノーの販売代理店であるスハイル・バフワン・オートモービルズ(SBA)との間で、1500万ユーロに及ぶ不審な支払いについての容疑を中心とした逮捕状5件とされています。

 カルロス・ゴーンは、すでに日本からの要請でインターポールの逮捕状の対象となっていますが、2018年11月に東京で逮捕された彼は、「不正から逃れたい」と逃亡を正当化し、日本当局の「陰謀」を糾弾していました。

 そして、その時点で彼は、フランスの司法制度を信頼していると繰り返し述べていました。

 昨日のフランスのテレビ局のインタビューで、カルロス・ゴーンは「容疑に関して、全て説明できる用意はできている。いつか、フランスに戻れる日が来ると信じている」と語っています。

 しかし、現実には、このような令状が発行されても、第三国の当局にそれを執行する義務はなく、さらに、レバノンはフランスと同様、自国民の身柄を引き渡さない。具体的には、レバノン当局にはカルロス・ゴーン氏をフランスに引き渡す義務はない、ということです。彼はレバノン国籍とともにフランス国籍(同時にブラジル国籍)も持っているので、フランスとしても自国民の身柄を要求することはできないのだろうか?とも思います。

 68歳の彼は普通の人間ならば、引退する年齢ではありますが、今年、2月の段階では、ベイルートにおける仏紙Le Parisienの独占インタビューで、自分のイメージを「再確立」する決意を述べ、「これまで私が何をしてきたか、私が誰であるかについての意見を操作する試みがあまりにも多かったので、自分のイメージを再確立することが重要だと思う」と語り、まだまだ復活する心積りでいたと思われます。

 彼が本当に、全てを説明できる準備ができていて、フランスの司法を信頼しているのであれば、堂々とフランスに出頭すれば良いはずなのですが、彼の算段としては、おそらく、自分のイメージを再確立して、ある程度の世論を味方につけてからというものであったかもしれませんが、現在の世界の状況は、戦争にかき消されて彼の発言などに注目は集まりません。

 パンデミックのために彼の罪は世間からは、忘れ去られようとしていましたが、その後、ウクライナ戦争という大事件が起こっても、フランス司法当局は、決して忘れていないどころか、着々と次の段階への準備を続けてきていたのです。

 もともと日本で逮捕されたカルロス・ゴーンではありますが、日産とルノーという日本とフランス両国に関わる人物であっただけにフランスとて黙っているわけはありません。

 お役所仕事は何かと滞るフランスも税務署、財務司法となると他とはわけが違います。先日もロシアのオリガルヒの資産凍結をあっという間に行ったばかり・・日本が取り逃したカルロスゴーンを今度はフランスがとことん追求してもらいたいものです。

 

カルロスゴーン国際逮捕状


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