2023年8月7日月曜日

日光でのフランス人女性行方不明事件について

  


 昨日、夜8時のニュースを見ていて、私はちょっとびっくりしました。事件は、2018年に日本で行方不明になったフランス人女性についての話でしたが、それが、たまたま、つい先日、日本の犯罪ジャーナリストの人が運営しているYouTubeで見たばかりの話だったからです。

 見たばかりとはいえ、事件そのものは、2018年の7月に起こっている話で、日本を旅行中だったフランス人女性が日光に滞在中、2泊の予定で宿泊施設を予約しており、2日目の朝(つまり、まだもう1泊する予定だった)10時頃、ふらっとホテルを出たまま行方不明になってしまったにもかかわらず、それ以来、彼女の行方がわからなくなってしまったという謎めいた話です。

 日光といえば、日本でも有数の観光地、観光客の多いところで外国人観光客も少なくありません。彼女は、当時の朝、軽装で出かけており、部屋にもスーツケース、パスポート、観光プログラムなど、彼女の荷物は、そのままになっていて、失踪したと思われる気配もなく、朝食の場で、居合わせたドイツ人観光客と会話をしていたのが目撃されているそうですが、その後、彼女の目撃情報はほとんど見つからず、初動捜査にあたった栃木県警も、当初はあまり事件性を疑っていなかったために、本格的な捜査にかかるのが遅れ、観光地ゆえ、もしも目撃していた人がいたとしても、彼らは土地の人ではないために彼女の足取りを掴むことが困難になってしまったらしいのです。

 彼女の家族は、充分な捜査がなされない日本の警察に業を煮やし、フランスにて助けを求めました。その結果、フランス当局が同年秋に司法捜査を開始し、2019年5月にフランスの捜査官が日本を訪れ、日本当局の支援を受けて、現地調査が行われましたが、捜査は行き詰まり、2022年7月に捜査は中断されることになりました。

 また、悪いことに、途中、パンデミックがはさまり、日本は鎖国状態になり、外国人の入国は認められなくなり、彼女の家族が日本へ彼女を探しに行くこともできなくなったことにも、彼らは憤慨しています。

 彼女の家族は、捜査が打ち切られることが納得いかず、嘆願書に2万3千人以上の署名を集め、マクロン大統領に何度も手紙を書き、エリゼ宮を3度も訪れ、ついには、本まで出版して彼女を探し続けています。

 ついには、外務省を通じて、彼女の捜査は今年6月に再開されることになったそうです。

 しかし、時間が経ってしまった今、非常に彼女の痕跡を探すことは難しく、特に彼女の家族曰く、「日本の警察は捜査にほとんどリソースを割かなかったため、目撃者は無視され、犯罪痕跡は真剣に捜査されなかったことを非難しています。

 私がたまたま見かけたYouTubeは、今月初旬に配信されたもので、この犯罪ジャーナリストの方は、事件の概要を説明するとともに、日本の県警ごとの捜査の問題点なども指摘しています。

 この事件の印象から、「日本は犯罪が少ないのではなく、犯罪と認定していないだけなのでは?」などという質問に、特に地方の県警は、このような捜査に慣れておらず、おそらく、最初の段階で事件性を感じなかったのだろうと答えています。

 なるほど、考えてみれば、フランスではだれかが行方不明になったという通報などがあった場合は、ものすごい人数の憲兵隊などが捜索にあたり、「この人を見かけませんでしたか?」などと目撃証言を募るニュースが全国規模で報道されているのを見かけます。行方不明になった人の国籍は関係ありません。

 そして、私がたまたまフランスのニュースでこの件が報道されていたのに驚いたのは、このYouTubeの中で、この犯罪ジャーナリストの人が、最後に、「この件は、もっとフランスでも騒ぐべき!フランスのテレビとかで、日本の警察は世界一だとか言ってるけど、全然、そうじゃない、日本人は外国人がいなくなったら、ちゃんと捜査してくれないの?と騒ぐべき!」と言っていて、彼のアドバイスどおりに、さっそくテレビで報道されていたことです。

 このYouTubeが撮影されたのがいつだったのかはわかりませんが、それにしても、このフランス人ジャーナリストがこの事件に関するテープをテレビ局に持ち込んで、夜20時からの最も国民がニュースを見ると言われている時間帯の冒頭の5分ほどを使って、しっかり、そのニュースが流されたということです。

 たまたま、その日は、他に大きなニュースがなかったためでもあったのでしょうが、その日のニュースなんて、ギリギリになるまでわからないもので、もしも、隙間の時間があったら、これを報道してほしいと持ち込んでいて、テレビ局もそれを受け入れたに違いありません。

 とはいえ、もう事件が起こってから、5年も経ってしまっているものの、今後も日本が観光に力を入れていきたいのであれば、「外国人に対しては、行方不明になっても、ロクな捜査もしてもらえない!」なんて評判にならないように、とりあえずは、この事件に関して、しっかりかたをつけてもらいたいものです。

 これだけの署名を集めて、本まで出版して彼女を探しているこの家族やフランスのマスコミを舐めてはいけません。


日光フランス人女性行方不明事件


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