2023年8月31日木曜日

夏のバカンスが終わると、続々と発表されるストライキの予告

 



 フランス人のデモやストライキの激しさは、今さら説明する必要もないくらい有名な話だと思われますが、バカンス(特に夏)を一年のメインイベントの一つとして捉えている(習慣づいている)フランス人にとっては、この時期のデモやストライキは、基本的には、お休みになります。

 その年によって、よほどのムーブメントがあった場合(黄色いベスト運動の時やワクチンパスポート反対の時など)には、夏まで引きずったこともありましたが、例年は、わりときっぱり、あっさり、夏の間はみんながバカンスに散っていきます。

 ワクチンパスポートの時は、感染拡大予防のために、ワクチン接種を早急に浸透させるために、バカンスを人質にとり、夏のバカンスシーズン直前に、ワクチンパスポートがないと、長距離移動の公共交通機関に乗車できないとかイベント会場に入場できない、外食できないなどの規制ができたために、発表当時は、大変な反対の声が上がり、大きなデモが起こりましたが、結果的には、「あれこれ言っていないで、さっさとワクチンでも何でも打って、バカンスに行きたい!」と思う人が多かったようで、いつの間にか、このデモも鎮まり、何より、ワクチン接種があっという間に進んだという経緯がありました。

 ということは、やっぱり、何よりもバカンスファーストの国なわけです。

 今年は、年初から、年金問題のデモやストライキ、そして、警察官の発砲事件による未成年者死亡事故をきっかけにしたデモから大きな暴動が起こり続けていましたが、そのどちらも夏まで引きずることはなく、夏のバカンスの期間は大きなデモやストライキはありませんでした。

 何よりも、パリは特に、バカンス期間中は多くの住民が出払ってしまうので、あまりストライキをしても、そもそも人が少ないのですから、あまり影響はなく意味もないのです。

 そんなわけで、夏のバカンス期間があけて、新年度が始まるとともに、学校や仕事も再開されると同時にストライキも再開されます。下手をすると、夏のバカンス前に9月のストライキの日時の予告をして、バカンスに突入する機関もあるくらいです。本当にちゃっかりしています。

 現在、聞いているだけでも、9月7日にSAMU(救急隊)のデモ、8日のラグビーワールドカップ開幕戦(スタット・ド・フランス)の当日のRATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)のストライキなどが発表されており、今後も続々と出てくるのではないかと予想されます。

 日本人からすれば、考えられないほどの長期間の夏のバカンスをとった後に、すっかりリフレッシュして、さあ仕事!と思いきや、ストライキですから、もうある意味、突き抜けているというか、極めているというか、もう見事なものです。

 もちろん、こんなことができるのは、一部の企業や機関のことではありますが、夏のバカンスの後のストライキ、これもまた、ある意味、フランスの風物詩のような感もあるくらいです。

 来年の夏は、パリでオリンピックが行われるために、確実にいつもと違う夏を迎えることになると思われるフランスですが、一体、どんなイレギュラーなことになるのか?不安なような、楽しみなような気持ちです。

 まさか、オリンピックの最中にストライキ?なんてことはないと思いたいのですが、このオリンピックを妨害したい人々がボランティアに紛れ込んでいて、彼らが一斉にボランティアの仕事をボイコットする・・なんていう計画というか、噂もあるのです。

 フランス人恐るべしです。


バカンス後、9月はストライキ


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